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食べログの点数、誰も知らない「賢い読み方」――2017 BEST5【フード部門 1位】

食べログの点数、誰も知らない「賢い読み方」――2017 BEST5【フード部門 1位】

食のプロが明かすおいしい店発掘術(1)  大崎裕史×伊藤章良×子安大輔

genre : ライフ, グルメ

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2017年、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。フード部門の第1位は、こちら!(初公開日:2017年1月25日/「食のプロが明かすおいしい店発掘術」全3回の1回目 第2回「食べログを超えた、使えるグルメ情報はなにか」、第3回「普段使いできる良店は、条件検索と口コミで探せ!」も公開中)。

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──かつてはテレビや雑誌などが発信していた「美味しい店情報」がいま、どんどんネットに替りつつあります。そこで、食べログレビュアーでもあるラーメン評論家の大崎裕史さん、食随筆家の伊藤章良さん、食プロデュースの専門家の子安大輔さんと、立場は違えども食べ手のプロ3人に美味店発掘のとっておきの方法をうかがいます。

大崎 テレビや雑誌が情報のメインだった時代が変わったのは、私の実感としては1996年ですね。それまでは、降りた駅で電話ボックスの電話帳をめくって探して行くようなこともやっていましたが、当然外れのほうが多くて、たまに美味しい店に当たった時は今とは比べ物にならないほど大きな喜びでした(笑)。それが96年以降、インターネットが普及し、個人でホームページを開設してラーメン店を紹介する人が出現した。

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伊藤 その当時、大崎さんが開設した東京のラーメン店を紹介するサイト「とらさん(正式名称:東京のラーメン屋さん)」がすごくおもしろくて、よく見ていました。

大崎 あれを開設したのが95年だから、やはり20年ほど前ですね。98~2000年頃は情報を発信する人が増え、情報の量もちょうどいい感じで、とても便利だなと感じていましたね。

大崎裕史 (株)ラーメンデータバンク創業者。自称「日本一ラーメンを食べた男」としてマスコミ露出。昼はほぼ毎日ラーメン2-3杯で年間750杯ほど、夜はラーメン以外の外食で年間300軒。著書は『日本ラーメン秘史』など。

伊藤 僕も2003年頃に「情報ポータルサイト」でおいしい店の紹介記事を週に1回書いていましたが、アップした瞬間、紹介した店の電話がパンクするという感じだったみたいですね。あの当時でもそんなに情報がなかったようで。

大崎 当時の方が情報に飢えていて、アクセスはすごかったですね。

──でも90年代はバブルだったから、テレビのグルメ特集も多かった。88年創刊の「Hanako」や、93年から始まった「料理の鉄人」などで、グルメ情報に親しんできた人が増えてきた。ボージョレ・ヌーボーやティラミス、もつ鍋などのブームも懐かしい(笑)。

食べログ登場以前にあった幻のネットグルメサイト

子安 そうですね、2000年代前半までは、ネットを使うと言っても、まだ閲覧しているだけの方が圧倒的に多かったと思います。

大崎 ネットが台頭してきて、既存のマスコミは負けるのかと思いきや、個人のラーメンサイトを調べて逆にうまく利用して視聴率、部数を稼ぐという時代でしたからね。2000年代前半に日本テレビが大晦日に「史上最大!全国民が選ぶ美味しいラーメン屋さん列島最新ベスト99」を放送した時は、1位になった湯島の「大喜」や高田馬場の「俺の空」はものすごい行列になりました。今はその役割はミシュランが担っていますよね。2015年にラーメンで初めて一つ星を取った巣鴨の「Japanese Soba Noodles蔦」はあまりの行列で近所から苦情が出て、移転を検討しなければならなくなりました。昨年末に新しく一つ星になった大塚の「鳴龍」も発表翌日からすごい行列でした。

子安 そしてネットからの情報量が増え始めた2005年に食べログが登場したんですよね。