『機動戦士ガンダム』と『ウルトラマン』。昭和の成長期に誕生し、今なおアニメと特撮の大看板を張るシリーズの最新作が、令和4年の初夏に劇場公開された。それぞれの監督を手がけた安彦良和氏と樋口真嗣氏が、自身の作品に込めた思いのたけを語る!

◆◆◆

安彦 富野監督のガンダムの企画原案では、宇宙船に乗り込んだ子どもたちが宇宙戦争のなかで漂流をする話だったんです。その名残りでホワイトベースは地球で漂流するんですよ。ところが当時の製作状況もあって、話の展開は途中まではボヤッと見えているけれど、その先が見えていない。

ADVERTISEMENT

安彦良和監督

樋口 TVシリーズだし、当然ですよね。

安彦 脚本のライターたちが、あてどなく、あっち行け、こっち行けとやっていたんじゃないかな。ファンからすれば先が読めない! 「ガンダム」らしい!となるんですが、なんのことはない、誰も先がわからなかった。だからぼくは当時のTV版の話数順は意味がないと思っているんです。ホワイトベースだって宇宙から降りたら、まずジャブローに行こうとするはずでしょ。それで、『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では特に大きくは謳ってないけれども、ジャブロー攻略戦とオデッサ作戦の順番を逆にしている。おかげで無人島探しも楽でした。ジャブローとオデッサを結ぶ線上にあるのは、カナリア諸島しかないですから。

※以下、中略。発売中の「週刊文春エンタ+」のお2人対談記事では詳細に語っていただいています。

お2人対談のノーカット版は発売中の「週刊文春エンタ+」

オリジナルメンバーだから変える権利がある

樋口 文字どおり漂流していたんだ(笑)。

――『ククルス・ドアンの島』も『シン・ウルトラマン』もリブートするにあたって、オリジナル版へのアクセスの仕方に違いがありますね。

樋口 そこはキャリアの違いです。ぼくはオリジナルの『ウルトラマン』には触れてもいないから、話を変えずに総花的にしないといけない。安彦さんは『ガンダム』のオリジナルメンバーで“世界をつくりし神”(笑)のひとりだから変えられる。