安彦 それは自分で言いたくないけど、あるんです(笑)。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を描いたときも、事前に当時の社長の吉井孝幸さんに、変だと思うところは変えるよと言ったんです。ぼくはオリジナルメンバーだから変える権利があるって。
あの時、どんなにバタバタな状況で作っていたかを知ってるし、まだ“神様”じゃない富野さんが「どうしよう……」と悩んで、それをみんなで寄ってたかってフォローしていたこともわかっていますからね。ところで今回の映画で、樋口さんが一番、観せたかった観客層は?
『シン・ウルトラマン』で意識したのは…
樋口 『シン・ウルトラマン』で意識したのは、ウルトラマンを初めて観る観客だと思います。知らない人が観ても楽しめる作品にしたつもりですが、安彦さんの話を聞いて、だんだん自信がなくなってきた(笑)。
安彦 いや、違うの(笑)。ぼくは予備知識がまったくなかったから、もう少し優しく迎えてほしかっただけで。
樋口 安彦さんは『ククルス・ドアンの島』を誰に観せたかったんですか。
安彦 ガンダムを知らない人が「こういう話だったのね」と観てもらえるようにつくったつもりです。『ガンダム』放送時の高校生世代も、もう還暦ですから。おじいちゃん、おばあちゃんが孫を連れて観ても「ヤギさん!」と喜んでもらえて、ガンダムもチャンバラしてカッコいい。どなたが観てもわかります。だから皆さん映画を観にきてください。
樋口 『シン・ウルトラマン』も、ぜひ劇場にいらしてください(笑)!
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対談の続きは、「週刊文春エンタ+」の特集記事でお楽しみください。
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〈注〉
ガンダムの企画原案:初期の構想は『十五少年漂流記』から着想を得たものだったという。このプロットは、のちに『伝説巨神イデオン』や『銀河漂流バイファム』にも使われた。
ジャブロー攻略戦:ジャブロー基地は連邦軍の総司令部で一年戦争時にジオン軍の標的となった。第29話「ジャブローに散る!」、第30話「小さな防衛線」で描かれる。
オデッサ作戦:ジオンに攻め込まれていた連邦軍の、最大の反攻作戦。第25話「オデッサの激戦」で描かれる。劇中、ジオン軍のオデッサ基地司令マ・クベが水爆を使用する。
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』(01年):『機動戦士ガンダム』をベースにした安彦良和によるマンガ。設定の改定やエピソードの追加などのアレンジが施されている。2015年からは安彦総監督のOVAも制作された。
©創通・サンライズ
取材・文=幕田けいた、撮影=杉山秀樹
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■『シン・ウルトラマン』全国劇場にて公開中 ©2022『シン・ウルトラマン』製作委員会 ©円谷プロ
■映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』絶賛上映中!