「トー横キッズを取材していると必ず『窓口』として出しゃばってくるのがハウル。キッズの『炊き出し代』として謝礼を要求してくるし、素性を一切明かさない。彼にも話を聞いたが、怪しいので1秒も使わなかった」
他局のスタッフも同様の証言をしており、歌舞伎町卍会が清掃ボランティアとして新宿区に任意で届け出た際も、代表者の名前は別の人物だった。「それもそのはず」とは前出の記者。
「石川県出身のハウルには20代の時、未成年少女を連れ出した条例違反や別の少女に対する強姦容疑などの逮捕歴があった。本名で調べると、過去の報道が確認できます」
なぜハウルに騙されてしまったのか
民放各局が取材や放送を回避した一方、NHKはなぜハウルの本性を見抜けず騙されてしまったのか。
番組内では、ハウルが本名や年齢などを明かさなかったことを認めている。
「スタッフの間では、素性不詳のハウルを出すことを不安視する声や反対意見も上がっていたそうです。でも、ハウルの地道な活動は評価すべきだとして、番組ディレクターが突っ走ってしまった」(NHK局員)
さらに、別のNHK局員がこう補足する。
「真実性等の観点から、顔出しナシや匿名証言が続くVTRは局内で歓迎されないんです。一方、件(くだん)の『クロ現』は取材対象者が顔を出せない匿名の未成年ばかり。唯一、顔を出して登場する成人のハウルは、番組構成上もありがたかった」
NHKはこう答えた。
「取材過程で犯罪が疑われるような情報には接していませんでしたが、放送後、番組で取り上げた人物が逮捕されたことは遺憾です」
クローズアップすべきは自身の脇の甘さだった。