大人であっても、子供であっても、英語の学習には苦労するもの……。では、あの天才は英語をどう学んだのか? 「世界最高の頭脳」とも評される台湾IT担当大臣オードリー・タンさんのユニークな学習法を紹介。

 タンさんの新刊『何もない空間が価値を生む AI時代の哲学』より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/#1#3を読む)

オードリー・タンさん ©KRIS KANG & Onion Design Associates

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私は休んでいる間に学習する

 私の学習は、夜の夢の中か昼間の空想、つまり無意識の領域で行われています。

 ですから、よく眠れないと前の日に学んだことを覚えられません。学ぶための素材は、昼間聞いた話や読んだ本などで、私の場合、昼間はとにかく素材を集めることに集中します。その後の睡眠や空想の中でなければ、学習は起こりません。

 好奇心からそれぞれの素材の内容を理解することはあっても、日中はそれらを学習すべきかどうか判断するまでには至りません。まず材料を集めて、十分な休息時間をとり、寝て、朝起きたら自分の思考の一部になっている、という感じです。

 睡眠が本当に学習に影響を与えると実感したのは、小学校3年生、8歳の時です。その時私はしばらく学校を休んでいたので、遅刻を気にする必要はなく、夜は十分に眠れて、そうすると勉強の効果が違うとわかりました。つまり、「学校に行っている私」に比べて、「学校に行っていない私」は、前日に見たことや考えたことを次の日も発展的に考え続けることができたのです。しかし、寝不足だと思考回路が途切れたり、逆戻りしたりしてしまいます。

 この現象について、科学的な文献を確認したことはありません。なぜなら、私自身が長い間睡眠を個人的に検証してきた結果としての、確実な「実感」だからです。「実感」なら、それを検証するための文献を探す必要はないでしょう。しかし、将来的には、何らかの実験ができるような文献があれば利用してみたいと考えています。

 ただ、睡眠は非常に個人的なものですから、遅く寝ても遅く起きても構わないと私は思います。プログラミングの共同作業の途中でインスピレーションが湧いているときなどは、仕事が一段落するまで寝ないこともあります。