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「『マジック:ザ・ギャザリング』をプレイするために…」学校を辞めたオードリー・タンの英語力を上げたユニークな学習法

『何もない空間が価値を生む』 #2

source : 文春文庫

genre : ビジネス, 働き方, ライフスタイル

note

 誰もが異なる学習スタイルを持っており、注意力の使い方も異なります。生理的に就寝時間が少し遅くなったり早くなったりする人もいれば、一日に何度も寝なければならない人もいます。ですから、私は「早寝早起き」という決まりや、権威ある人の言うことにはあまり影響されません。私は小学3年生の時から、自然に目がさめるまで寝ることを原則としています。皆さんも、自分に一番合った学習と睡眠のパターンを探してみてはどうでしょうか。

外国語を学ぶのではなく第二言語を練習する

 私は言語を目的としてではなく、その後に何かをするための手段として学ぶのです。

 私が英語を学んだのは中学時代で、最初は英語のカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』(Magic:the Gathering)をプレイするため、そして英語ゲームのダイアログ(会話)を理解するためでした。私にとっては、これは学ぶべき学問ではなく、必要な第二言語でした。

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オードリー・タンも遊んだ世界的カードゲーム(写真:マジック:ザ・ギャザリング公式サイト)

 だから、当時の私が「何をしているの」と聞かれたら、「英語を勉強している」ではなく、『マジック:ザ・ギャザリング』の遊び方を学んでいるだけ、と答えるでしょう。

 私はすでに学校を辞めていたので、いかなる試験を受ける必要もなく、英語を学ばなければならないというプレッシャーはありませんでした。

 その後、プログラミングについて語り合うコミュニティに参加したいと思ったのですが、当時のこのようなコミュニティはインターネット上にあり、そこにいる人たちはすべて英語でコミュニケーションをとっていました。そこにいる友人と連絡をとれるようにしなければならないので、英語の練習を続けました。

 その後、レナード・コーエンの『アンセム』や、リン=マニュエル・ミランダのミュージカル『ハミルトン』シリーズといった自分が好きな曲を聴くと、すべて英語の歌詞なのでどんどん覚えていきました。

 厳密に言えば、英語はおそらく私が話すことができる4番目か、5番目の言語でしょう。子供の頃、家では中国語だけでなく、台湾語も話していました。ドイツに行った時は、一年間ドイツ語を話し、フランス語も少し覚えてから英語に触れました。でも、英語に触れたことで、フランス語はすっかり忘れてしまったようです(笑)。