大混戦模様のパ・リーグ。ペナント終盤に差し掛かっていくほど面白味を増していくだろう。だが一方で、檜舞台の一軍と別世界のファームの場合は、シーズンが進むほど全く逆の雰囲気となっていく。
特に8月の「彼ら」には、どんな声掛けで取材しようかと頭を悩ませてしまう。
その彼らとは3桁背番号の育成選手だ。
プロ野球はシーズン中のトレードや新規選手契約可能期間が定められており、近年は東京五輪やコロナ禍の影響で後ろ倒しとなっていたが、今シーズンは従来の7月31日に線引きがなされていた。
つまり、もう今シーズン中は、育成選手が支配下登録される可能性はなくなってしまったのだ。
ここ数年の中でも飛びぬけてハイレベルなホークス育成選手
今年のホークスは近い将来の四軍制を見据え、その準備段階として今シーズンは三軍を拡充した。そのため昨秋のドラフト会議では育成ドラフト史上最多となる14位指名まで行い育成選手の保有数を大幅に増やした。前年の2021年春季キャンプイン時点での育成選手は22名だったのが、今季は育成ドラフトに加えて中南米から10代プロスペクトも獲得するなどしたため育成38名でスタートを切っていた。
そんな中から今年、支配下登録を勝ち取ったのは藤井皓哉(3月22日移行)、田上奏大(4月7日移行)、中村亮太(7月2日移行)、黒瀬健太(7月28日移行)の4名だった。
なかでも大出世を遂げたのが藤井だ。投げるたびに信頼が集まるようになり必勝リレーに欠かせない立場を自らの右腕で築き上げた。ほかの3選手も一軍でプレーし、7年目の黒瀬は7月31日の西武戦(PayPayドーム)でプロ初打点を挙げてお立ち台デビューを果たし、8月3日の日本ハム戦(札幌ドーム)ではプロ初安打も放ったのは、黒瀬本人はもちろんのこと苦労している中でも応援してきたファンもまた感慨深いものがあったに違いない。
結果的に、上記4名の支配下登録に加えて7月19日に秋吉亮を独立の日本海オセアンリーグ・福井ネクサスエレファンツから獲得したことで、ホークスの支配下登録は上限いっぱいの70名となった。
それが本当にもどかしく思った。一介のライター目線だが、今年の育成選手のレベルはここ数年の中でも飛びぬけて高く映るのだ。もちろん、過去には千賀滉大、牧原大成、甲斐拓也が同期入団してしのぎを削った時代もあって取材もしていたが、今年の場合は全体的にハイレベルに感じる。また、あくまで成長途上の選手のため長期間の安定した活躍は難しいかもしれないが、数週間なり1、2か月という単位で見れば一軍クラスというよりも一軍で勝利に貢献する戦力に組み込めそうな選手がかなり多いと感じている。