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心を動かされた大学時代の仲田選手の覚悟

 私は昨秋のドラフト前、地元のラジオ番組の取材で、当時福岡大学4年生だった仲田選手を訪ねた。これまでの自身のことや取り組みについて話を聞いたのだが、一つ一つの言葉から、秘めたる覚悟を感じた。ドラフトを前に、不安や悩みも当然抱えていたが、「何としてでもプロに行きたい」という強すぎる想いを感じて私も胸が熱くなったのを覚えている。ホークスで取材活動をしている私としても、何か力になれるような気の利いた一言、励みになるような言葉を掛けられないかなと思いながら会話をしていた。それくらい、彼の覚悟には心を動かされたのだった。

福岡大学4年時の仲田選手 ©上杉あずさ

 そして迎えたドラフト会議。全体の一番最後、ホークスから育成14位で指名されて、仲田選手は安堵の涙を流して喜びを噛み締めた。「最後というのも逆に良かったというか。もう這い上がるだけなので。絶対這い上がってやるぞって言う気持ちです」とドラフト後に語ってくれたが、その言葉を聞いて、プロのステージでも続く『仲田慶介下剋上物語』が楽しみで仕方がなかった。どんな逆境も、気の遠くなるような現状でも、夢に向かって考えながら突き進むことが出来る逸材なのだ。

 実は、あるスカウトが話してくれたのだが、「仲田の能力は正直普通。でも、あの努力は只者じゃないんだ」と彼の人間力にベタ惚れだった。それは、プロ野球選手になった今も、当然変わらないし、彼を見ていたらきっと皆さんも何か感じるものがあると思う。

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 仲田選手を見ていたら、ホークスの現状もそうだが、自分自身、困難が立ちはだかっても立ち止まっている暇なんてないと思わせてくれる。前を向いて自分の道を切り開いていかなければならないと大いに刺激をくれる。それがホークスの希望の光、仲田慶介だ。

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