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安倍派の集票力は「文教&宗教」

 私は以前に自民党の集票力について詳しい記者に聞いたことがある。昭和の時代からだいたい「宏池会(岸田派)は大企業、竹下派(現・茂木派)は業界団体、清和会(安倍派)は文教&宗教」だと言っていた。今まさに注目されているのが安倍派の「文教&宗教」なのである。

 だから、安倍派の醜聞が出てくる度に文科省の「中の人」だった前川氏が発言する流れにここ数年なっている。なるほど安倍派にとっては厄介な人物なのです。

 文化庁の宗務課担当者は、2015年になって旧統一教会から名称変更の申請があった理由は「教団側のタイミングだ」と述べている。このタイミングは下村大臣だったからというより第二次安倍政権だから満を持して申請したのではないか? そう考えると下村氏個人が今もフワフワした言動なのは理解できる。

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©文藝春秋

「新国立競技場問題」でも注目が…

 さて、2015年には別の大問題もありました。「新国立競技場の建設費問題」である。ここでも下村博文先生が注目を浴びていたのを思い出してほしい。

 膨れあがった建設費用に批判が強くなり、下村文科相は舛添要一東京都知事との会談で500億円の負担を求めたが反発された。そのあと下村氏は「一貫して明確な責任者がどこなのか、よくわからないまま来てしまった」と言い放った。すごすぎる博文節。とにかく明るい安村ならぬ、とにかくずさんな下村。

 しかしこれも「下村博文よりエライ人」の動きをみると興味深いのだ。当時の毎日新聞の社説は、事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長、監督する立場にある下村博文文科相の責任は問われなければならないと書きつつ、

《その背景には関係者が「重鎮」に配慮し、河野氏の諮問機関に過ぎない有識者会議が重要事項を決定する機関となっていた実態がある。》(社説『新国立検証報告 無責任ぶり確認された』2015年9月25日)

 と指摘している。