JAXAから指定された袋
――開発には3年かかったそうですが、宇宙日本食にするのは大変だったんですか?
本間 やはり「賞味期限が1.5年」という制約が大変でした。 市販している亀田の柿の種の賞味期限は150日(5か月)なので、その3倍以上もたせなければならない、ということになります。そこは海外輸出時の技術・情報も活用、目標にむかって検討し、達成する事ができました。
佐々木俊之さん(以下、佐々木) JAXAから指定された「宇宙日本食のための保存条件」というものがあり、それに合わせる必要もありました。たとえば、宇宙に行くまでに周囲の温度が高くなったり低くなったりするので、そうした日常とは違う環境の中で、市販のものより長くもたせないといけないのです。一言で言えば、「亀田製菓に宇宙日本食のための新しいルールを整備していく」必要があり、それがいちばん苦労しましたね。
本間 でも、「市販されているものを、そのまま宇宙で食べてもらいたい」という想いがあったので、亀田の柿の種そのものは変えないというポリシーがありました。そのためパッケージや鮮度保持剤を工夫しました。まず補給船で宇宙へ運ばれる際には、アルミ製の銀色の袋に入ってます。この袋はJAXAから指定されたもので、水分が出入りしにくいなど、バリア性が高いものになっています。
その中には乾燥剤と脱酸素剤を入れています。よく市販のものにも入っている「食べないでください」と書いてあるものと同様のもので、有毒なガスが発生しないかなど、JAXAで安全性に関する試験も受け、使用しています。
亀田の柿の種はこの銀色の袋の中の、さらに透明なカップの中に入っています。このカップの蓋は、カップ焼きそばの紙の蓋のように、途中までは簡単に開きますが、途中で引っかかってそれ以上は開かないようになっています。また端にはベルクロの留め具があるので、蓋をいったん閉じて、次に食べるときまで保存することもできます。