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なぜ「亀田の柿の種」が宇宙へ行くことになったのか?

開発者が語る特別プロジェクト

2018/01/08
note

「宇宙では味覚が鈍る」のか?

――宇宙では人間の味覚が鈍り、味の濃いものが欲しくなると言われますが、味を変えよう、濃くしようという話はなかったのでしょうか。

佐々木 たしかに通説では「宇宙では味覚が鈍る」とはよく言われるのですが、じつはまだ、科学的には証明されていないらしいのです。

 JAXAのほうでもそのあたりは興味があるらしく、ゆくゆくは研究テーマにして、科学データを取ることができればおもしろいのでは、という話をしています。

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 また、もし本当に味覚が変化するとしても、そもそも柿の種自体、ピリッと辛いので、そのままでも十分楽しんでいただけるのではないかと思います。この点については、いつか実際に食べた宇宙飛行士の方から、意見や感想を聞いてみたいですね。

JAXAの認定書

――柿の種とピーナッツとの比率は、市販品と同じ6:4とのことですが、これはどのような経緯で生み出されたものなのでしょうか。

片桐保(以下、片桐) そこは私が説明しましょう。弊社が柿の種を発売したのは1957年のことで、当時は柿の種だけで販売していました。1966年に、米菓メーカーとして初めて柿の種にピーナッツを合わせて販売するようになったのですが、そのときの比率は7:3(柿の種が7、ピーナッツが3)でした。

 ただ当時、ピーナッツは高級品だったので、お客さまから「もっとピーナッツが食べたい」という要望があり、一度5:5にしたことがあります。ところがかえって不評で(笑)。じゃあ間を取ろうということで、1974年から6:4になり、いまも続く“黄金比率”になりました。

 じつは2013年に、いま一度お客さまの声を聞こうと、比率に関する国民投票キャンペーンをやったんですね。そうしたら1位が7:3、2位が5:5で、6:4は3位だったんです(笑)。

 でも投票率も僅差であり、他のお客さま調査も参考にし、ご意見はいただきましたが、それでも6:4で続けていこうと判断して、いまに至っています。