宝塚でも演じられてきた次元大介
テレビアニメ版では一貫して小林さんが演じてきた次元役だが、作品全体ではそうそうたるメンバーが演じている。
OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)第1作/劇場アニメシリーズ第4作『ルパン三世 風魔一族の陰謀』(’87年)では、『開運! なんでも鑑定団』(’94年~)の名調子で知られる銀河万丈さんが演じていた。プレステ用ソフト『D2MANGA ルパン三世』(’98年)では郷里大輔さん、コラボOVA企画『ルパンしゃんしぇい』(’12年)ではFROGMANさんが声を演じている。
また、最初の実写映画『ルパン三世 念力珍作戦』(’74年)では『北の国から』シリーズ(’81~2002年)の黒板五郎役で知られる田中邦衛さんが、2014年公開の実写映画『ルパン三世』では玉山鉄二さんがめいめい個性的に次元を演じていた。ミュージカルの世界では、『ルパン三世 I’m LUPIN』(’98年)でホシノケンジさんが、宝塚歌劇団によるミュージカル『ルパン三世 -王妃の首飾りを追え!-』(’15年)で、宝塚女優の彩風咲奈さんがそれぞれ華麗に次元を演じていた。
「次元大介調で」「そういう注文が多いんだよね(笑)」
小林さんは『ルパン三世』第1シリーズ終了後、後番組のドラマに顔出しで出演している。これは当時、スピン・オフと呼ばれ、前番組の出演者が、視聴者をそのまま後番組に引っ張るために後番組にも出演するテレビ独自の風習にならってのことだった。
『ルパン三世』の後番組はさいとう・たかを先生原作の特撮ヒーロー番組『超人バロム・1』(’72年)。同番組で小林さんは、主人公のひとり、木戸猛の父親で警視庁きっての鬼刑事・木戸燐太郎役を演じていた。アニメ作品から実写作品へのスピン・オフ出演も珍しいが、刑事に追われる身(殺し屋役)から刑事役へのバトンタッチも面白い。「もちろん『ルパン』の流れだけじゃなく、小林さんの名演技に惚れ込んでのことですけどね」とは同番組のプロデューサー・佐野寿七さんの弁。
小林さんの美声は次元の声にとどまらず。石原プロモーション製作の名作TVドラマ『西部警察』シリーズ(’79~’84年)や『仮面ライダーBLACK』(’87~’88年)、それに『列島警察捜査網 THE追跡』シリーズ(’11年~)のシブいナレーターとしてご記憶の方も多いことだろう。