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良書ばかり発行していた出版社がなぜ?
また、本書を発行した出版社にも問題はある。ほかの出版社ならいざ知らず、本書を発行したのは、日本でインターネットの商用化が始まったばかりの頃からインターネットの普及を目的とした雑誌を発行していたインプレスだ。
最近でこそ「いちばんやさしい」という言葉のもと、内容が軽めの技術書やマーケティング関連の書籍を多く出している印象だが、もともとはきちんとした技術書を多く発行していた出版社だと記憶している。
本来であれば、ここまで程度の低い書籍を発行することなどあり得ないのだが「Web3」というバズワードに惑わされてしまったのだろうか。この一冊で、同社の他の書籍の評判まで落としてしまうことを考えると非常に残念である。
バズワードに惑わされた書籍は、なにもWeb3に限った話ではない。考えてみれば、自分が関わっているデジタルマーケティングの世界は、出版されている書籍の大半がバズワードを煽るものでしかない。大抵が、そのバズワードで商売をしている似非マーケターが、中途半端な知識で読者を煽るものであり、自分自身を紹介する、ちょっとかさばる名刺のような存在でしかない。
自分の意見を述べるのは大いに結構なのだが、少なくとも最低限の知識を持った上で、事実をねじ曲げることなく書いていただきたい。バズワードに乗って我欲を満たすために、間違った知識、情報を書籍としてまき散らすことはあってはならないのだ。