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男性職員からA子さんに「横領がばれた」

 A子さんの知人が振り返る。

「最初の頃はA子さんも『本当にお金があるなら結婚するのもありかなぁ』とか冗談で言っていたくらいなので、男性職員への嫌悪感はそこまでなかったと思います。ただ、最近では『結婚して』とか『直接会いたい』と言動がエスカレートしてきていて、A子さんもちょっと引いていた様子でした」

 そんな他人の金で推しに貢ぐ豪遊生活も、ついに終焉を迎えることになる。

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「男性職員はA子さんに『横領がばれた』と、2カ月前ぐらいから漏らしていました。この頃から既にパニックになっていたのか、『これからあまりお金が使えなくなる』『最後に残っているお金で何をしようか?』『迷惑をかけてごめんなさい』といったDMをA子さんに送っていました。横領が発覚した後は、A子さんも『警察が来たらどうしよう』『税務署が来たら税金払わないとなあ』と焦っていた様子でしたね」(同前)

男性職員のTwitterアカウント。プロフィールにも“推し”のことが書かれている

 結局、男性職員は6月7日、病院と町が決算書類の不審な点に気づき、調査を進めるなかで「私がやりました。これ以上、言い逃れできない」と“自白”することになった。

 28日に開かれた自身の処分を決める審査会では、「一生をかけて償いたい」と悔恨を口にし、これまでに計640万円を弁済。男性職員とその親族は返金する意思を見せているようだが、いまだ完済の目途はたっていない。

自然が美しい南伊勢町 ©文藝春秋

 のどかな町で起きた巨額横領事件。身勝手で歪んだ“愛情”の末路は、町民の期待を裏切るあまりにも悲惨な結末となった。