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「夫のサーフィン仲間も同居しているんだ」

 大家族が住んでいた3階建て住宅は屋根が焼け落ち、焦げた家具の残骸が散乱。駐車場の車には、生々しい血痕が付着していた。敷地内にはブランコやバスケットボールなど、惨劇にそぐわない子育て家族の面影が残っていた。事件前にはAさん夫婦の6人の子供たちが家の前で遊ぶ姿などが頻繁に目撃され、子供の授業参観や運動会には両親揃って参加するなど、近隣住民の目には「仲の良い家族」と映っていたようだ。子供の同級生の親が話す。

子供たちが遊んでいたバスケットボール ©︎文藝春秋

「自宅の前で三女(10)や三男(3)が近所の子供とキックボードに乗ったり、ボール遊びや縄跳びをしてるのを、母や長女(17)が見守っていました。大きい犬も飼っていて、一家で庭でバーベキューしたり、Aさんと長男が一緒に家の壁を緑に塗る微笑ましい姿も見かけました。お母さんは物腰柔らかくて可愛い人で、ママ友を自宅に呼ぶような社交的な性格でした。『夫(Aさん)のサーフィン仲間も同居しているんだ』と話していて『一体何人住んでいるんだ?』と驚いたのを覚えています」

キャデラックやレクサスなど4台の車

 複数の近隣住民によると、大家族が住んでいた家は元々キリスト教の教会で、スイス人家族が住んでいたこともあるという。その後は土木会社の寮として使われていたが、20年ほど前に一家が引っ越してきたようだ。寮として使えるほど部屋数が多い上に、2階に増築も施して、10人で十分住める大きさだ。

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元教会だという大きな家 ©️文藝春秋

「駐車場には4台の車が停まっていました。Aさんはキャデラック、奥さんはレクサス、Aさんの父親はアルファードに乗っていましたが全て中古車。生活が楽そうには見えないのに車にだけはお金をかけている印象でしたね」

 大家族の生活が裕福とは言えなかったという証言は、複数の近隣住民から聞こえてきた。

「旅行に出かける姿も見たことがない。うちが子供とディズニーランドに行った時も『可哀そうだからあの家の子供たちに言っちゃダメだよ』と言い聞かせてました。Aさんは木更津市にある清掃会社の下請けで長年ハウスクリーニングの仕事をしていました。弟の卓さんも同じ仕事をしていたと聞きましたが、それでもお金が足りないのか、2人の父親も80を超えているはずですが週3日くらいは働きに出ていましたね。税金の滞納か何かで家を差し押さえられそうになったという話も聞いたことがあります」