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少女は冷静な様子で、『あの子死んだ?』と…

「事件現場は叫んだり、騒いだりする酔っ払いも多く、トラブルは日常茶飯事です。事件があった夜も『助けて!』という女性の大声が聞こえてきましたが、最初は『またいつもの騒ぎか』と軽く思っていました。でも、それにしては大きな声だし、『助けて!』という声が何度も聞こえてきた。慌てて外に出ると刺された女性が倒れていて、その横で飲食店の従業員の男性が必死で少女を取り押さえていました。少女は冷静な様子で、『あの子死んだ?』と言っていたとか。治安が悪い場所ではありますが、さすがに驚きました」

 事件を受けて埼玉県戸田市教育委員会は22日に会見を開き、教育長は「こうした事案が発生したことは大変重く受け止めている」と声明を発表した。「通っていた学校や生徒の氏名も現時点では把握していない」といい、事件から間もなくで混乱した様子が窺えた。

会見を開いた埼玉県戸田市教育委員会 ©文藝春秋

 一方、捜査の進展で、犯行当日の足取りも少しずつわかってきた。

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 捜査関係者によると、少女は事件の約6時間前の午後1時30分頃、自身が通うJR北戸田駅の塾に行くと母親に言い残し、自転車で自宅を出た。だが、向かった先は塾ではなく、武蔵浦和駅だった。そこから電車に乗って新宿駅で降り、人通りの少ない場所を目指して歩くうちに、犯行現場の渋谷・円山町に辿り着いたという。少女は「犯行後に逃走するつもりだった」と供述しているが、家を出た際の所持金はわずか500円。それすら電車賃で使い果たし、犯行後には所持金はほぼなかったという。

 何が少女を凶行に駆り立てたのか。捜査関係者が話す。