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ついにあの男が帰ってきた 楽天イーグルスには涌井秀章というピースが必要だ

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/10
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「勝たせたい」と思わせる“目に見えない力”

 すると、鈴木大地選手が犠牲フライ、さらには茂木栄五郎選手が2ランホームラン!我が母校、桐蔭学園の後輩たちが僕の思いを汲んでくれたのか、しっかり逆転に導いてくれました。マルモレホス選手の弾丸ライナーも素晴らしかった。

 脱線しますが、桐蔭学園出身のプロ野球選手ってフルネームで呼びたくなる人が多いですよね。高木大成さん、高橋由伸さん、鈴木大地に茂木栄五郎……。これって偶然? そして、G.G.佐藤ってフルネーム?

 ……などと考える余裕まで出てきました。

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 その後、楽天は追加点を重ね、実に7得点! なんだか、楽天ナインから「涌井投手を勝たせよう!」っていう想いが溢れていたような気がします。もちろん、どの投手が先発でもチームメイトは勝たせたいと思っているわけですが、そのなかでも、その想いを強くするピッチャーっているんですよね。他球団なら、ヤクルトの石川雅規投手などがそうだと思います。

 この目に見えない力はとても重要で、そういう想いを抱かせる投手は、きっとエースと呼ばれるのでしょう。

 それにしても、きょうは柳田選手との対戦が迫力満点でした。ホームランを打たれたあと、2打席目と3打席目はどちらも初球はど真ん中のストレート。打てるものなら打ってみろという力強さを感じましたね。

 2打席目は四球になってしまいましたが、3打席目はセカンドゴロに仕留めました。打たせてなるものかという涌井投手の熱い想い、それに正面から応える柳田選手。そして、この対決のすべてを察して、左よりになってしっかり守っていたセカンドの浅村栄斗選手。

 極上の対決は、素晴らしいプレーを生み出すのです。打ち取った涌井投手も応えた柳田選手も良かったですが、浅村選手の守備は特に素晴らしかった。

 野球はチームプレーです。しかし、たった1人の選手が良い影響を全体に与えることがあります。そういう選手がいるチームは、総力戦になったとき、想像以上の力を発揮するものだと思います。

 今年のペナントも残り3週間。3週間しかないと嘆くのか、それとも3週間あると最後まで信じるのか。最後の最後まで、激闘を期待したい。

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