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Yahoo!知恵袋では“父親の余命”を質問…弟を実家で殺害した姉48歳の“ケータイ検索履歴”〈大阪・堺市練炭偽装殺人〉

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2022/08/31

genre : ニュース, 社会

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生前、聖光さんが妻に「(朱美に)気をつけろ」

 実際に当初、聖光さんの死因は自殺と考えられ、司法解剖が見送られていた。だが、聖光さんの妻からの度重なる要望を受けて、捜査一課が動いたところ、死亡の状況や遺書の不審点にようやく気づいたのだった。そして遺体からは、睡眠薬成分が検出された。

「夫はパソコンで手紙を書かない。文面や言い回しも違う」

 聖光さんの妻がこのように府警に訴え続けなければ捜査は行われなかったはずだ。その強い訴えには理由があった。生前、夫が「(朱美に)気をつけろ」と話していたからだ。足立被告の父親である富夫さんが創業した水道工事会社の継承を巡っては姉弟間でトラブルになっていたともいわれる。本来の後継者と目されていた聖光さんは別の建築会社を設立し、足立被告が2015年頃に父親の会社を継いだというが、売上高は2年間で半減していた。

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足立朱美被告の父親が経営していた会社の事務所兼住宅(2018年6月当時) ©共同通信社

父親の緊急搬送に足立被告の関与を疑っていた

 弟の聖光さんが死亡した時、娘に会社を託していた父親・富夫さんも、意識不明の状態にあった。2018年1月、低血糖状態で2度、緊急搬送されていたのだ。1度目は退院したが、その直後、再び低血糖状態に陥り、意識が戻っていなかった。2回とも、前日に足立被告が実家に泊まり、自作の甘酒を飲ませていたという。さらに、富夫さんのインスリンも実家から消えていた。父親の富夫さんが低血糖状態で緊急搬送されたことについても、聖光さんは足立被告の関与を疑っていたという。

写真はイメージ ©iStock.com

 2018年6月20日、足立被告は聖光さん殺害容疑で逮捕され、この8日後に父親の富夫さんは亡くなった。

 初公判の冒頭陳述で検察側は、足立被告が「糖尿病治療をしていた父を事故に見せかけて殺すためにインスリンを打った」うえ「その犯行を疑った弟を自殺に見せかけて殺すため、遺書を作り、練炭を準備し、睡眠薬を飲ませた上に練炭を燃焼させ一酸化炭素中毒により殺害した」と主張。さらに、一連の犯行を疑った聖光さんの妻らについても足立被告が「中傷する文書を撒いたり、車などにスプレーを吹きかけ汚損した」とも主張している。

 一方の弁護人は「2人が亡くなっている事件。検察は、被告人が殺害したと主張しており、2件の殺人が前提の求刑を行うことは間違いない。最も厳しい刑を求刑する可能性は十分にある」と、検察側が死刑を求刑する可能性に言及したうえで「間違いないと考えられる場合でなければ有罪とすることはできない。黒か白か判断する場ではなく、黒まではいかないというときは無罪とするべきだ」と訴えた。

後編に続く)

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