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「お花畑」なマンション業界の末路

 2019年10月の消費税率アップ前の駆け込み需要をまたぞろ期待して大量供給を目論んでいるのが「お花畑」なマンション業界だ。都内のマンション用地取得でホテルとの壮絶な取得競争に負けたデベロッパー各社は、千葉や埼玉といった郊外部での供給を増やすという。これは2つの理由でデベロッパーにとっては厳しい結果となるだろう。

 建設費がうなぎ上りの中、全体価格に占める建物代の割合が80%程度を占めるマンションビジネスで、土地代が安い郊外に戦線を拡大しても、全体の価格は建設費に引っ張られて高くなってしまい、郊外のマンションを買わざるを得ない一般庶民には「お高い買い物」となってしまうのが第一の理由。そして第二の理由がそもそもこれだけ都心居住が進む中で郊外部のマンション需要は窄(すぼ)まるばかりだということだ。首都圏の人口が完全に東京一極集中に向かう中の千葉、埼玉侵攻は太平洋戦争時のインパール作戦を彷彿とさせるものだ。

マンション業界の千葉・埼玉侵攻は太平洋戦争のインパール作戦を彷彿とさせる ©iStock.com

 都心部のマンションも「都心居住」の浸透と言いながら実はその多くの需要はインバウンドマネーと富裕層だ。「金利」と「有事」に敏感な彼らがいなくなるときのマンションマーケットが2018年の悲惨な姿となるかもしれないのである。

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ホテル旅館業界からの反発で民泊の規制を強化

 2018年6月には住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行がある。インバウンドが激増する中、新しい宿泊形態としての民泊の定着を望む声がある一方で、既存のホテル旅館業界からの猛烈な反発で、この新法は民泊を「促進」するどころか厳しく「規制」する法律になってしまったことはあまり知られていない。営業日数を極端に短くする動きなどはすでに京都などインバウンドの多い自治体でも公然と唱えられ始めている。

 むしろ民泊を極力排除するために自治体が積極的に規制を強化することで、既存のホテル旅館や住民の機嫌をとることに終始する姿が全国各地でみられることだろう。民泊にインバウンドを泊めてお金を稼ごう、などと夢見ている向きもあるかもしれないが、その夢はまさに「夢のまた夢」に終わる可能性が高いのである。

東京五輪が近づくにつれて外国人投資家は「売り」の季節に

 東京五輪が近づくにつれて、これまでニッポンを買ってきた外国人投資家はそろそろ「売り」の季節に入る。外国人は日本人とちがって別に日本に「想い」があって不動産を買っているわけではない。日本人はすぐに勘違いして「彼らは日本が好きになったのだ。中国では生きるのがつらいから日本がよいのだろう」などと勝手な妄想で自分褒めを始めるおめでたい国民だが、海外のいろいろな場所に投資を行い、ポートフォリオを組んでいる外国人投資家にとって、日本が「売り」と感じれば不動産はさっさと売って、他の有望な地域に買い替えるだけだ。

 おそらく「売り」が攻勢となり物件価格が下がり始めると、取り残されるのは低金利や節税などの甘言に乗せられて多額の借入金でマンションやアパート投資を行った「いたいけな日本人個人投資家」であろう。

「宴の終わり」を知って最後のチキンレースを繰り広げているのはプロの人たちである。そして株式でも債券でも小豆相場でも、最後に取り残されてババをつかむのはいつも個人である。すでに「慎重な」人たちは法人も個人も含めてみんな「手じまい」をしている。

 気が付いたときに「そして誰もいなくなった」とならぬよう注意が必要なのが2018年なのかもしれない。