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安倍氏は電話でどう答えたのか

「そうだね……」

 言葉少なに安倍は答えた。

安倍氏

 長きにわたり取材を続けてきたが、安倍の周囲で「旧統一教会」の名前を聞いたのはこの時が初めてだった。

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(中略)

 2021年9月、安倍は旧統一教会の友好団体「天宙平和連合」のイベントにビデオメッセージを寄せている。山上徹也容疑者はこの映像をみて「殺害を決意した」と供述した。安倍は、日ごろから、多忙を極める中でも会場に駆けつける場合と、逆にビデオメッセージだけで済ませる場合がある。こうした使い分けで交流関係に違いを出し、ある種の距離感を滲ませていた〉

 志半ばで生涯を閉じた安倍元首相には総理三選という「見果てぬ夢」があった。岩田氏の取材では、その意欲は退陣間もない頃から膨れ上がり、言動の随所に滲み出ていたという。

〈仮に「第三次政権」の発足があるとしたら、2024年を念頭に置いていた。国内外で同時多発的に波乱が起きると踏んで、着々と準備を進めていたのだ。

 2021年3月17日の夜のことだ。安倍は富ヶ谷の自宅に麻生太郎を招き、二人で酒を酌み交わしていた。政治観を微妙に異にしながらも、長年の盟友である麻生とは肝胆相照らす仲だ。実はその晩、二人は「台湾海峡の有事は5年以内に起こるのではないか」と話している〉

 その他、「文藝春秋」10月号および「文藝春秋 電子版」では、「安倍晋三秘録」と題して、第二次政権退陣直前に安倍元首相が漏らした苦悩や、昨年9月の自民党総裁選での暗闘について全13ページにわたり詳細に綴られている。

文藝春秋

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暗殺前夜の電話