混戦を極めるパ・リーグ。どのチームがパ・リーグ覇者になるかワクワクドキドキで刺激的な毎日である。楽天イーグルスも一戦必勝で戦っている。

 9月11(日)千葉ロッテとの最終戦、それはそれは劇的な逆転勝利で上位に食らいついた感動的なゲームだった。

 スコア0-2の2点ビハインドで迎えた8回裏、渡邊佳明選手が逆方向のレフトへのヒットで出塁すると、山﨑剛選手の2ベースヒットで1死2、3塁とチャンスを拡大、2番・小深田大翔選手の逆転3ランホームランがライトスタンドに飛び込み、それが決勝点となり楽天イーグルスは勝利した。

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 この試合の中で7回表に注目したい。1死1塁で千葉ロッテ・安田選手の大きな打球は左中間へ。センター・辰己涼介選手のスーパーキャッチで追加点を1点も許さなかった。

 8回表も岸孝之選手がマウンドにあがり気迫のピッチングで三者凡退で締め、逆転勝利となった。

 辰己選手の勝利をたぐり寄せる、あの好捕がなければ……勝利はなかったかもしれない。チームが1つになったこの試合、ラジオ実況をしていて鳥肌がやまなかった。このまま鳥肌が立ったままになるんじゃないかというぐらい、立ちっぱなしだった。

好きなおにぎりの具は「梅」の辰己涼介選手 ©河内一朗

鉄平さんが語る「辰己選手のココがすごい!」

 プロ4年目・辰己選手は立命館大学から楽天イーグルスに1位指名を受け入団した。今シーズンのここまで、9月14日時点でキャリアハイ打率.280(リーグ6位)、99安打という成績を挙げている。

 今回そんな辰己選手をよく知るお二人に話をきかせていただいた。

 昨シーズンまで楽天イーグルスの一軍打撃コーチを務め、辰己選手をルーキーイヤーから見守った楽天イーグルスOB鉄平さんは「(今シーズン)打席での振る舞い方、アプローチに進化を感じます。フルスイングばかりではなく、カウントやピッチャーによってコンパクトでいくことがしっかりできていますね」と丁寧に教えてくれた。

 現在チーム2位の打率を残している辰己選手の性格を聞くと、「ナチュラルな感じです。コーチだからとか年上だからといって、かしこまりすぎたりするような性格ではないです、あと度胸もありますね」。

 辰己選手はチームでも、お立ち台で笑いをとるNo.1といっても過言ではない。誰が相手でも媚びることなく、野球はもちろん、野球以外の何事にも自分のスタイルで真摯に向き合っているのだろう。

 2009年パ・リーグ首位打者に輝いた鉄平さんに辰己選手のココがすごい!というポイントを尋ねると「身体のバネですね。これがパワーとかスピードに直結しているのですが、バネから生み出すパワーはチームでもトップクラスです。僕の現役時代よりはるかに高いので、これから発揮する力も無限大ですよ」とうれしい言葉を聞くことができた。

 そして、鉄平さんは最後に「(辰己選手には)これからも、これぞプロだなというプレー、人の心を揺さぶるプレーを、今後も野球ファンのみなさんにみせ続けていってほしいです」と愛のあるエールで締めくくった。