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ついにあの男が帰ってきた 楽天イーグルスには涌井秀章というピースが必要だ

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/10

 9月8日木曜日。この日、僕はZOZOマリンスタジアムで千葉ロッテマリーンズと北海道日本ハムファイターズの試合の解説をしていました。パ・リーグ5位と6位のチームの対戦ですが、いかんせんペナントレースは混戦模様。ここからCS圏内に入るのは両チームともに可能ですし、この対戦カードはこの日の試合を含めてまだ9試合も残っている重要なものなのです。

 試合を終えて、帰宅すると、僕はすぐに録画してあった福岡ソフトバンクホークスと楽天イーグルスの試合のチェックに入りました。そうあの男がついに帰ってきたのです!

涌井秀章というピースが必要なのは間違いない

 昨2021年は開幕投手としてスタートし、月間MVPを獲得するなど素晴らしい成績を残しました。しかし、後半になると、調子を崩してしまったのか、早い回で降板する試合が多くなり、今年は二軍スタートとなっていました。

 それでも、チャンスを掴んで好投。その後は3連勝もありましたが、5月18日のロッテ戦でピッチャー返しの打球を右手に受け、骨折してしまい長期離脱となっていました。とても悔しかったと思う。涌井くんはポーカーフェイスなのでそういう素振りは見せないだろうけど、それでも焦りはあったと思います。はい。

 しかし、ついに帰ってきました。9月8日。この日の時点で、楽天は首位と3.5ゲーム差の4位です。開幕当初、田中マー君の出来栄えなどを鑑みて、「今年の楽天は強い」そう確信していました。そういう意味では、現在の順位は予想外と言いますか、物足りないものであります。12球団屈指の先発投手陣を誇る楽天イーグルスですが、やはり涌井秀章というピースが必要なのは間違いないようです。

涌井秀章

 ビデオを再生すると、そこにはマウンドに登る前の涌井投手の姿が。なんだろう、この実家のような安心感。そして、なんとか勝ち星を付けてあげて欲しいと湧き出る熱い想い。

 そして、いよいよプレイボール。

 ここ数年の涌井投手は、往年の桑田真澄投手を彷彿とさせます。精密機械のようなコントロール。おそらく本人以外の人間では、理解することすら難しいである積み重ねたピッチング理論。そして、ルーキー時代と変わらぬ輝きのストレート。

 立ち上がりが課題なのは、間違いありません。先頭の周東選手に四球を与えていまいました。このあと、柳田選手にホームランを打たれるのですが、それよりも俊足の周東選手を出してしまったのは良くないですね。ソフトバンクの藤本監督によれば、柳田選手は最近、当てに行くバッティングが目立つそうですが、それでも柵越に持っていけるのはさすがです。

 打ったのはフォークボールだと思いますが、悪い球ではなかったと思います。打った柳田選手を褒めるべきでしょう。

 しかし、その後は徐々に良くなっていき、あまり危なげは感じませんでした。今後も、やはり立ち上がりが鍵になりそうな気がします。あとはとにかく援護が欲しい。はやく逆転してあげて欲しい――。思いはそれだけです。

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