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埼玉県入間市 住民の息吹引き継ぐ「ジョンソンタウン」
「10代のころミリタリーファッションが流行って、横田基地界隈に軍の放出品を買いに行っていました。そのとき目にした米軍ハウスでギターを弾いているお兄さんたちが格好よくて、私もいつか米軍ハウスに住みたいと思ったんです」
そう語る高橋みきえさん(42)が念願を叶えたのは、埼玉県入間市の「ジョンソンタウン」。この地には陸軍航空士官学校の将校や下士官向けに建てられた日本家屋が並んでいたが、敗戦後に米軍に接収されてジョンソン基地が生まれると、米軍ハウスが増えていく。
1973年に基地が返還されると若者が入居するようになり、近隣の狭山アメリカ村では細野晴臣がレコーディングを行なうなど、独自の音楽文化が結実した。
もっともその後、日本家屋も米軍ハウスも荒れ果て、「高校時代に訪れたときには、女子高生が行くようなところじゃないなんて言われていたんです」(同前)
だが2003年、老朽化した家屋の修復と、米軍ハウスの現代版ともいうべき「平成ハウス」の建設が始まり、白壁の平屋が並ぶ景観地区に変貌。多くの観光客を集めるようになった。
「米軍ハウスは古いので夏は暑く、冬は寒いのですが、夫が大工なので不便があれば自分たちで直しちゃいます。ここには以前ミュージシャンが暮らしていましたが、前の住民の息吹を次の住民が引き継ぎ、また新しい色を加えていく。そうしたところが米軍ハウスに住む魅力だと思います」