昨年8月、東京メトロ・白金高輪駅で、会社員の男性が硫酸をかけられ重症を負った事件。傷害等の容疑で起訴された花森弘卓被告(26)の初公判が9月20日に行なわれ、出廷した花森被告は「間違いないです」と起訴事実を認めた。

 花森被告と被害者男性は、大学のサークルで先輩・後輩の間柄だったという。何が花森被告を残忍な犯行へと駆り立てたのか。事件の背景を追った当時の記事を再公開する(初出:2021年8月29日、年齢、肩書等は当時のまま)。

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「ニュースで顔と名前が公開された時は唖然としました、あの花森だって。農学部の彼だったら知識を持っている分、硫酸の怖さは誰よりも分かっているはずなのに」

 ショックを隠せない様子でこう話すのは、8月24日に東京・白金高輪駅で不動産会社に勤める会社員男性Aさん(22)に硫酸をかけた傷害容疑で逮捕された大学生・花森弘卓(25)容疑者の高校時代の同級生だ。

花森弘卓容疑者 ©文藝春秋 撮影・上田康太郎

 30日午前8時すぎ、上下グレーのスウェットで高輪警察署から姿を現した花森は大勢の報道陣に囲まれながら検察庁に身柄を送致された。被害者は琉球大学時代の映画サークルに属していた花森の後輩だった。

「花森容疑者は大学時代に後輩の男性の態度が悪かったという趣旨の供述をしていて、被害を受けた男性も、以前にため口を使ったことでトラブルになったことがあると説明しています。沖縄県内の潜伏先は、学生時代に行きつけだった飲食店の店主に紹介された年下男性宅でした。今年4月にも花森容疑者は沖縄を訪れていて、その男性と一緒に昆虫を見にいったようです」(捜査関係者)

高校時代の花森容疑者

高校1年で留年、「うるせぇ」と怒鳴ることも

 静岡県静岡市で育った花森は、地元の小中を卒業した後に入学した県内の私立高校で、1年生時に留年している。前出の同級生は花森の「2回目の1年生」で一緒になり、卒業まで3年間の学生生活を共にした。

「僕たちが高校に入学した年に、花森が2年生に上がれずに同じクラスになりました。留年の理由は聞いたことはありませんが、すぐクラスにも溶け込んでいました。年上ということをあまり感じさせず、年下のクラスメイトたちからも『花森』と普通に呼び捨てでした。どちらかと言うといじられキャラで、たまにいじりがエスカレートした時は『うるせぇ!』とか怒鳴ることもありましたけど、それ以上のトラブルも覚えていません」

 友人もでき、高校時代の花森は充実した生活を送っていたようだ。

「学校終わりにゲーセンで太鼓の達人をやったり、昼休みにバスケをして遊んだり、ちょっと変わっているけど普通のおとなしいやつという印象でした。だから高3で生徒会に立候補して役員になった時は驚きましたよ」