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影のMVPは順天堂・花澤だった――箱根駅伝2018「TVに映らなかった名場面」復路編

影のMVPは順天堂・花澤だった――箱根駅伝2018「TVに映らなかった名場面」復路編

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【8区】届かなかった20年ぶりの区間記録更新

西本 8区は頼まれてもないのに「区間記録達成への道」というコラムを書いた“8区マニア”のポールさんにお任せします(笑)。

ポール そうですね。勝負という面では林の走りで青学の優勝はほぼ決まっていたので、8区は青学の下田裕太が区間記録を出せるかという目線で見てました。僭越ながら区間記録更新への必要条件として僕があげたのは4つです。

 まずはチーム力。下田ほどの力のあるランナーを8区に置ける、選手層の厚い青学のようなチームであること。2つ目は暑さへの対応。下田は初夏の関東インカレハーフマラソンでも実績があるため、全く問題はない。3つ目は レース展開。青学の優勝は確実だったので、競り合うことなく、記録だけに集中できる。そして最後はレースコンディション。現在の区間記録は1997年に山梨学院の古田哲弘が出したもので、このときは強い追い風が記録を後押ししました。今回はこのレースコンディションだけが味方してくれなかった。ゴール後に下田はマネージャーに「たれた」と言っていましたが、それだけじゃない。海からの追い風が吹かず、運が良くなかった。ついに、8区は21年区間記録が更新されていないということになりました。

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8区区間新には届かなかった青学・下田

マニア もうひとつ、僕が注目したのは下田のダブルピース。彼はゴール後にいつもカメラに向かってピースをするんですが、今回は箱根を走ることができなかった主将の吉永竜聖も一緒にピースをして、めでたくダブルピースが完成しました。