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【10区】順天堂・花澤の姿にもらい泣き

マニア まずは箱根駅伝、最後の給水です。

西本 10区の給水はすべてのドラマが詰まってますよね。ゴールシーンには立ち会えないけど、選手には声をかけられる。そこに誰を置くかはすごく重要。

マニア 今年は青学の4年生で優勝メンバーでもある中村祐紀が橋間貴弥に水を渡しました。

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西本 それまでレギュラークラスで箱根を走ったこともある実力者の中村が給水メンバーとして走る。

マニア それだけ青学の層が厚い。中村は全日本大学駅伝は走ってるわけですから。ひとくちに給水といっても大変なんですよ。選手はキロ3分のスピードで走ってきます。短い距離とはいえ、そのスピードに対応する必要がある。だから、給水担当はちゃんとウォーミングアップをしてるんです。

西本 ピッチもきっちり選手に合わせて走り、給水ボトルを渡し、監督からの伝令や激励もこなす。誰でもできる仕事ではないんです。

マニア もうひとつ外せないのは、順天堂の花澤賢人。4年間で初めて駅伝を走ったんですけど、彼は高校のときに5000mで13分台の記録を持っているトップ選手。その選手が一度も走れなかったのには理由があって、強直性脊椎炎という難病にかかっていたんです。治療法も確立されていない病気ですが、それを乗り越えてようやく箱根駅伝の舞台に立った。鶴見中継所では10位と1分差の11位でたすきを受け取り、シード権争いというポイントもありましたから、走り出す前はドキドキしましたよ。

西本 花澤はたすき渡しのときにもう泣いてたんです。走る前から感極まって。

マニア やっと走れる。うれしくてたまらないですよね。その思いが伝わってきました。

西本 このシーンは何度見ても号泣します。色々なMVPがありますけど、EKIDEN Newsが勝手にMVPをあげるとしたら花澤です。

マニア ポール それはもう間違いないですね。

10区を走りきった花澤

西本 さて、僕たちは12月31日に行われた早稲田大学のエントリーから漏れた選手たちによる男祭りを見て、1月1日のニューイヤー駅伝を見て、昨日・今日と箱根駅伝を観戦してきました。ここでEKIDEN Newsの活動は一旦終わりだと思うでしょうが、翌日1月4日は、‪朝6時‬前から行われる来年の箱根駅伝出場を賭けた駒澤大学の朝練を、校舎が見える多摩川の河川敷から眺めるというミッションがあるのです。そう、終わりのようで、今日からが新たな箱根駅伝への始まりなのです(笑)。

(「往路編」も公開中)

写真/西本武司、駅伝マニア(EKIDEN News) 構成/モオ