“目標”から“憧れ”へ―― 左腕の先輩から届いたメッセージ
昨年から中継ぎに配置転換されるなど、その後のキャリアは浮き沈みが激しい。それでも、今季は自己最速の154キロをマークするなど進化した姿を見せてすでに50試合登板もクリアし、防御率も2点台をキープ。2020年に能見がタイガースを退団した後は自身が若手を引っ張る立場となり、抜群のリーダーシップと人間性で今やブルペンに欠かせぬ存在になった。そして、今年8月には国内フリーエージェント権を取得。取得条件となる一軍登録日数7年は、能見と合同自主トレを行った2016年からの7年と重なる。
「プロ1、2年目で結果を出せずに2年目のオフに能見さんに自主トレをお願いしました。今年FA権を取れたのも、その3年目からのこの7年なので。能見さんは、僕がプロ野球選手の一歩目を切るためのスタートの準備を一緒にしてくれた」
現役引退の知らせを聞き、LINEで「能見さんがいなかったら今の自分はない」と感謝の思いを伝えた。返信には成長を見届けてきた師匠からのエールが込められていた。
「能見さんはあまり褒めることはしないんですけど“もっと自信を持て”“自分の力やから”“人としても一人前になれてるよ”という言葉があって。本当に泣けるというか……。大学時代は目標の選手、プロに入って人間性も知ってからは憧れの人です」
能見と過ごした時間は色あせること無く、これからも生え抜き左腕のキャリアを支えていく。
【虎番13年“チャリコ遠藤”のタイガース豆知識】
せっかくなので当欄も能見さんと岩貞の“ほっこり”エピソードを。ある年のオフ、岩貞が自身の結婚式で使用するオブジェ用のマツボックリを探していることを聞いた先輩は妻や子ども、家族総出で近くの公園に捜索活動に出た。結局、「季節的に今はマツボックリが落ちていないみたい」(能見)と見つからなかったようだが、岩貞は「そんなことまでしてくれるのが能見さんなんです」と惚れ直していた。
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