一方で、ファーストクラスの座席はどうだろう。普通車に比べて、非常にリッチである(心底、安心した)。木を基調としたモダンなデザインで、座席は九州新幹線のものに近いといえる。
ファーストクラスでもっとも特徴的なのが座席配置である。1列+2列の3列シートで、空間をゆったり使っている。1人掛け座席は進行方向を向いており、2人掛けは、通路側の1席が進行方向を向き、窓側の1席は進行方向とは逆向きの席配置。つまりペアで座れば、向かい合うように座れる。これは現行の日本の車両にない配置で、非常に興味深い。各座席には、動画が見られるモニターが設置されていたのも特徴だ。
実は東京~京都の夜行列車だった?
続いて運行ダイヤを検証していく。劇中、はっきりとした時刻についての言及はないが、エンドロールにちらっと映るチケットには、19:30発、07:15着とあった。これが該当列車だとしたら、東京~京都を結ぶ夜行列車となる。
なんというロマンあふれる列車だろうか! 夜行列車の定期運行はいまや寝台特急サンライズのみ。夜に東京を出発して、朝方京都に着く列車を映画で愛でることができるとは。
ゆかり号の停車駅は、品川、新横浜、静岡、浜松、名古屋、米原、そして終点京都。新幹線のぞみより停車駅は多く、こだまより少ない。まるでひかりのような停車駅だ。そういえば「ひかり」と「ゆかり」はどことなく似ている。ちなみに、東海道新幹線の現行ダイヤで、ゆかり号と同じ停車駅にとまる列車は走っていない。
劇中は時間の流れがファンタジックである。たとえば、浜松駅に到着したとき、ホームの時計は6:15を指していた。そして、次の停車駅である名古屋には、5分後の6:20に着く。現在のダイヤでは、浜松~名古屋間は約30分。両駅間を5分で駆け抜けるとは、別の時空間を走っているのか。また、この区間には車窓から見事な富士山も見られる。リアルな世界では富士山の見えない世界なので、やはり、別のワープ空間を通っているとしか考えられない(妄想がはかどる)。