ブラッド・ピット主演、真田広之などが出演する映画『ブレット・トレイン』が公開中だ。本作は累計300万部を超える伊坂幸太郎の小説「殺し屋シリーズ」の第2作『マリアビートル』を、デヴィッド・リーチ監督が映画化。舞台は日本。東京から京都に向かう超高速列車に殺し屋たちが乗り込み、ド派手なアクションを繰り広げる。

 鉄道を舞台とした映画と聞くと、鉄道ファンとして気にならずにはいられない。劇中の列車は東海道新幹線をモチーフにしているといい、車内でレッドカーペット・イベントを開催したことでも話題となった。

いい意味でツッコミどころ満載

 実際に映画を見てみると、外国人がイメージする「日本」が、そこかしこにちりばめられていた。列車にフォーカスしてみると、現実と重なる部分と、「これはあり得ない」と言いたくなるようなファンタジー的な部分が交差し、いい意味でツッコミどころが満載であった。今回は、鉄道コラムニストの筆者が劇中に出てくる車両とダイヤを検証する。

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主演のブラッド・ピット ©AFLO

車体は“東北新幹線E5系”に近い

 物語の冒頭、主人公のブラピ演じる殺し屋・レディバグは東京駅ホームにあるコインロッカーから荷物を取り、架空の超高速列車「ゆかり号」に乗り込む。列車の形状は東海道新幹線のN700系というよりも、東北新幹線E5系に近いと感じた。ホワイトのボディに、ブラックのラインが引かれ、クールな印象である。

 車体のところどころに、この列車を運行する「日本高速電鉄」の赤いロゴが描かれている。英語表記NIPPON SPEEDLINEを略した、NSLのアルファベット3文字のロゴだ。これは、どことなく旧国鉄のロゴ「JNR」を彷彿とさせ、鉄道ファンのテンションが上がるポイントだろう。

 赤をアクセントとしたシックな車内。各車両の貫通扉の横には、動画広告を表示できるモニターが設置されている。いかにもハイテクであるが、現行の新幹線ではこの装備はいまだされていない。