96歳で死去したエリザベス女王の国葬が、日本時間の9月19日午後7時から行われた。ロンドンのウェストミンスター寺院には各国からの要人らをはじめ、2000人以上が参列し、日本からは天皇陛下と雅子さまがそろって参列された。

 9月17日に皇居・御所を出発され、9月20日には帰国予定という“弾丸ご訪問”となったが、令和の時代、両陛下にとって初めての海外訪問となった。

 2020年1月、両陛下がエリザベス女王からの招待を受けて、同年春以降に国賓としてイギリスを訪問予定であることをイギリス王室が発表。即位後初めての海外公式訪問となるはずだったが、コロナ禍での延期以来、両陛下の本格的な皇室外交は実現していなかった。

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エリザベス女王の国葬に出席するため、ロンドンに向けて出発される天皇皇后両陛下 ©AFP=時事

「皇后とともに心から感謝しております」

 天皇陛下と雅子さまはともにオックスフォード大学で学ばれた。9月9日には、「英国エリザベス二世女王陛下の崩御に際しての天皇陛下のお気持ち」が公表され、陛下が深い哀悼の意を込められたこと、日本の皇室とイギリス王室の関係の深さをあらためて感じた。

〈我が国との関係においても、女王陛下は両国の関係を常に温かく見守ってくださり、英王室と皇室の関係にも御心を寄せてくださいました。私の英国留学や英国訪問に際しても、様々な機会に温かく接していただき、幾多の御配慮をいただいたことに重ねて深く感謝したいと思います。

 また、女王陛下から、私の即位後初めての外国訪問として、私と皇后を英国に御招待いただいたことについて、そのお気持ちに皇后とともに心から感謝しております。〉

ロンドン郊外のウインザー城にある王室図書室で、エリザベス女王から日本ゆかりの品々について説明を受けられる皇太子さま(当時)

 当初宮内庁からは、前例にならって秋篠宮ご夫妻が国葬に参列される可能性についても言及があったようだが、「陛下のお気持ちを伺ってから」という留保がなされたようだ。前述の文書からは、まさに陛下の強いお気持ちがにじみでているようで、あまり感情をあらわにされない陛下には珍しいことだろう。天皇陛下が参列される方向で調整が進められているという報道を受けて、深く納得した。

 雅子さまもご体調を見ながら参列を検討されるとして、結果的に両陛下での国葬への参列が実現した。エリザベス女王の訃報から間もなく国葬が執り行われたことで、通常の公務などよりも急な日程で、ご体調を調整されたことと拝察している。