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常識を超えた何かを持っている選手…“投手・根尾昂”には背番号7がよく似合う

文春野球コラム ペナントレース2022

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根尾には普通の投手がつける背番号は似合わない

 甲子園では投打に大活躍し、プロ入り後のポジションがどうなるか注目されたが本人は遊撃一本を宣言。将来的には自分のイメージする7番像である「スマートな打てる遊撃手」へと成長していってくれるのではないか⁉ ついに7番の真の後継者現る! と夢見たものだったが、皆さんもご存知の通り今季途中から投手へと転向した。

 さて、そうなると気になるのが来季の根尾の背番号である。

 日本のプロ野球では一桁の背番号を背負う投手はほとんどいない。例外として高校野球のエースナンバーである1番は、現役では楽天松井裕樹やホークスの風間球打、昨年引退した斎藤佑樹などチラホラ見かけるが、2番~9番を長くつけた投手というのは近年ではほとんどいないのではないだろうか。

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 自分の記憶に残っているものでは、阪神の藪投手が一時期4番をつけていたがそれもほんの数年で、一桁番号を自分の代表的な背番号にするほど長く背負った投手はあまり記憶にない。

 一桁の中でも野手のスター選手がつけることの多い7番を背負った投手となると、これはもう全く思い当たらない。

 ザッと調べたところ、ソフトバンク時代のバリオスが13年シーズン途中に支配下登録された際、適当な空き番号が無かったためにそのシーズンのみ7番をつけたようだが、それ以外では背番号7の投手というのはもうかれこれ50年近く出ていないようである。

 この例に従い、来シーズンは根尾も投手然としない7番を剥奪され、二桁以降の数字へと変更されてしまうのだろうか?

 うーん……。本当にそれで良いのかなあ……?

 自分は根尾という野球選手は普通のプロ野球選手の常識を超えた、人とは違う何かを持っているような気がしている。プロ初本塁打がド派手な満塁本塁打だったのもそうだが、何か持って生まれた星というか宿命というか、そういうものを感じさせる選手である。

 これまで投手から野手に転向した後に名球界クラスの活躍をした選手は何人かいるが、それに比べると野手から投手への転向は難しいとされてきた。

 しかし根尾ならば、それすらも乗り越えてしまうのではないか? という期待を抱かせる選手であることは間違いない。

 そして背番号に関しても、彼には普通の投手がつけるような番号は似合わないような気がするのだ。

 リリーフとしてアナウンスされ、マウンドに向かいルーティンをこなす根尾昂のユニフォーム姿はなんだかとても美しい。

 実質キャリア1年目の投手ながら、敵チームの主力打者をバッタバッタと三振に切って取る背番号7の後ろ姿は、最早頼もしくさえある。

 かつてイチローが「プロ野球選手はユニフォーム姿がイケてないとダメだ」的なことを言っていた記憶があるのだが、まさに今の根尾選手のユニフォーム姿は惚れ惚れするような格好良さだ。

 そんなイチローもそれまでは控え選手のつけることが多かった51番のイメージを大きく変え、外野手にとって特別な背番号へと育てあげた。

 同じく根尾の7番も、彼によってまた今までとは全く違うイメージへとメタモルフォーゼしていく様を見たいなあ、と個人的には思っているのですが、どうですかね?

「ドラゴンズの7番と言えば右の速球派投手の代名詞」なんてなったら面白いと思うんだけどなあ……。

 だがしかし、もしどうしても投手らしい背番号に変更しなければならないのだとしたら、何番がいいだろうか? と言うと、こちらも個人的に小松辰雄以降は真の後継者が居ないと思っている、ドラゴンズ栄光のエースナンバー20番がなんと今空いているのである!

 うーん、今までの常識に囚われない一桁の投手というのもカッコ良いが、それとは真逆のドラゴンズ伝統の20番を背負うに相応しい投手になってくれたら、それはそれで大変嬉しいぞ。

 7番や20番という長らくその偉大な背番号を象徴する選手が現れなかった数字を根尾が継承し、エースとしてチームを引っ張り優勝する! 嗚呼、なんと美しいストーリーなのだろうか……。

 とまあ一ファンの妄想は尽きないのだが、何番をつけるにしても、根尾君が素晴らしい活躍を見せてくれることを願っています!

 頑張れ根尾昂!

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