首相官邸が発表している新型コロナワクチンの接種率(2022年9月27日時点)は、2回接種完了者が80.4%となっている。国民の約8割が2回以上のワクチン接種を受けたことになるが、コロナが終息する兆しは見えない。

 ここでは、京都大学医生物学研究所ウイルス共進化分野准教授の宮沢孝幸氏と、ジャーナリストの鳥集徹氏が、コロナワクチンの“真相”に迫った著書『コロナワクチン 失敗の本質』(宝島社新書)から一部を抜粋。宮沢氏と鳥集氏が、コロナワクチンの重症化予防効果に疑問を呈した内容を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く

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重症化予防効果への疑義

鳥集 実はこのコロナワクチンの接種が始まる前に、何人かのウイルスやワクチンの研究者に取材したのですが、みなさん同じことを言っていました。コロナワクチンが導入されたとしても、感染防御は難しいだろう。ただ、血中の抗体価が上がれば重症化は防げるかもしれないと。ところが、コロナワクチンが導入された途端、あたかも感染防御もできるかのような幻想が振りまかれ、専門家もそれに異論を唱えなくなった。

宮沢 そうです。ただ私は重症化予防効果も、どれほどあるのかわからないと考えていました。コロナウイルスに感染して肺炎になるケースでも、ウイルスが直接肺の細胞に感染して横に広がっていくのであれば、血中のIgG(編注:体内に侵入した細菌やウイルスに結合し、活動を止めたり、白血球を支援したりする抗体)は無力のはずです。実際、今回の新型コロナウイルスも血中にはほとんど存在しないのです。

 もし簡単に血中に入り込んで広がるウイルスであれば、わざわざ綿棒を鼻に突っ込まなくても、採血してPCR検査をすればいい。綿棒を鼻に突っ込むとくしゃみをする人がいるので検査する医師がウイルスを浴びて危ないじゃないですか。採血したほうが医師としても安全なのにそれをしないのは、血中には遊離のコロナウイルスがほとんどいないからなんです。粘膜で十分増えたら血中に出てくるかもしれませんが、血中にほとんどウイルスがいないとなると、血中の抗体を上げてもあまり意味がありません。