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国民の約8割が2回以上接種したが…京大ウイルス学者が新型コロナワクチンの“重症化予防効果”を疑う理由

『コロナワクチン 失敗の本質』より #1

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宮沢 だから一気にウイルスを含む微小飛沫を大量に吸い込んだ場合は、重症化予防の効果もそれほど期待できないんじゃないかと私は思ったんです。治験が冬に行われなかったことも気になっていました。冬に重症化しやすいのは、微小飛沫粒子が乾燥してエアロゾルになりやすく、肺の奥まで到達するからと聞きました。冬と夏では条件が違うのです。

鳥集 その重症化予防効果があるのかどうかという話の前に確認しておきたいんですが、ワクチンの専門家たちはコロナワクチンが粘膜のIgA(目、鼻、上気道、腸管などの粘膜に出てくる抗体)を上げるのは難しいから感染予防効果は乏しいのではないかと最初から知っていた。

 しかし、菅前首相や河野元大臣が集団免疫を期待させるような発言をしたということは、そのように彼らに吹き込んだ専門家か医師がいたということですよね。その専門家や医師たちが無知だったということなのでしょうか。

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写真はイメージです ©iStock.com

ワクチンを打っても排出されるウイルス量は不変

宮沢 重症化しないことで次の人にうつりにくくなるのだとしたら、一時的に集団免疫が獲得できる可能性もゼロではないかもしれません。また、IgGを上げることによって、ウイルスが体内で増殖しにくくなり、多少感染のレベルが下がるかもという期待もありました。ただ、実際はワクチンを打っても感染者が排出するウイルス量は変わらないというデータが出た。

鳥集 2021年7月ですね。CDC(米国疾病予防管理センター)が、デルタ株に感染した人は、ワクチン接種者も非接種者も、ほぼ同量のウイルスを排出していると発表しました。

宮沢 それを見て、私も「あ、これはダメだ」と思いました。それだけでなく、症状は武漢株よりデルタ株、オミクロン株のほうが軽くなっています。症状が軽ければ多くの人が外に出て活動しますから、ワクチンを打ったことで軽症となり、外でどんちゃん騒ぎをすれば、その人がスーパースプレッダーとなりウイルスを広げてしまう。