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国民の約8割が2回以上接種したが…京大ウイルス学者が新型コロナワクチンの“重症化予防効果”を疑う理由

『コロナワクチン 失敗の本質』より #1

note

宮沢 つまり、逆効果になるおそれもありますよね。ただし、ワクチン接種者のウイルスは抗体に包まれている可能性があり、多少ウイルスが排出されても次の人には感染しにくいかもしれません。

ワクチンを打っても、いつかは効果がなくなってしまう可能性

鳥集 しかし現実的には、ワクチンを2回、3回と打つ人が増えても、陽性者は減るどころか増えていきました。世界に先駆けてワクチン接種を進めたイスラエルは、多くの人が2回接種を終えた2021年4月頃からものすごく感染者が減りました。それを見てワクチン推進派のなかには、「すごい効果だ」「人類の勝利だ」とまで喜んだ人がいた。しかし、結局もとに戻って、また感染が広がっていった。

宮沢 そうですね。

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鳥集 ワクチン2回接種完了後に波が下がってまた上がったというのは、実際はワクチンの効果とは関係なく、自然のエピカーブ(感染症の自然な波)ではないのでしょうか。

宮沢 ワクチンの効果で下がった可能性も、もちろん否定できないと思います。でも、申し訳ないんだけど私にはわからない。論文を読むとmRNAワクチン(たんぱく質の設計図となるmRNAを利用して、免疫反応を引き起こすことを目的としたワクチン)はIgAも誘導すると書いてある。

 でも、その量が十分なのかどうかは、粘膜免疫を誘導するワクチン、たとえば経鼻接種ワクチンで粘膜免疫を誘導したときの抗体量と、今回のワクチンで誘導された抗体量を比べないとわからない。論文を読んでもそれはわかりませんでした。

『コロナワクチン 失敗の本質』(宝島社新書)

 要は、「数対数」の戦いなんです。抗体が自軍だとすると、敵軍(ウイルス)がどれだけの軍勢で攻めてくるか。軍隊が存在すると言っても、向こうがこちらを上回る兵士を持ってきたら負けてしまう。それに、抗体の量は時とともに落ちるものなんです。ワクチンを打てば、最初は兵士の数が増えるかもしれませんが、だんだん減っていき、いつかは効果がなくなってしまう。

コロナワクチン 失敗の本質 (宝島社新書)

コロナワクチン 失敗の本質 (宝島社新書)

宮沢 孝幸 ,鳥集 徹

宝島社

2022年8月10日 発売

国民の約8割が2回以上接種したが…京大ウイルス学者が新型コロナワクチンの“重症化予防効果”を疑う理由

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