10月1日、元プロレスラーのアントニオ猪木さんが自宅で死去した。79歳だった。

 2018年、100万人に数人が罹るという難病「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」を発症した猪木さん。「病気が広く認識されることで、少しでも研究が進むきかっけになればいい」と、生前「週刊文春」の取材に応じていた。闘う猪木さんを報じた当時の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2021年12月9日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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 11月27日放送の「燃える闘魂 ラストスタンド~アントニオ猪木 病床からのメッセージ~」(NHK・BSプレミアム)で「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」という自らの病名を明かしたアントニオ猪木(78)が、「週刊文春」の取材に応じ、現在の心境を語った。

スポーツ平和党代表時代。左は江本孟紀氏(1992年)

治療法が確立されていない難病に

 猪木の抱える病気は、タンパク質由来のアミロイドが心臓をはじめとする全身の臓器に沈着する難病で、重症化すれば生命を脅かす恐れもあるという。国内の患者数は約2000人。100万人に数人が罹るとするデータもある。猪木は2018年に発症し、闘病生活を続けている。

「知られていない病気だけど、おそらく苦しんでる人はもっと多いんじゃないかな。治療法が確立されていない上に、何の薬を飲めばいいのかも分からず、病院の先生方も困っている。(公表して)病気が広く認識されることで、少しでも研究が進むきかっけになればいい」

入院中の猪木(YouTubeより)

 闘病のつらさを、猪木はこう語る。