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【3度目の逮捕】《三重県1億5000万円横領事件》「アイドル好きとは知らなかった」 職場では「無口で真面目」 事件発覚前には“推し”に「横領がばれた」と告白も…

【3度目の逮捕】《三重県1億5000万円横領事件》「アイドル好きとは知らなかった」 職場では「無口で真面目」 事件発覚前には“推し”に「横領がばれた」と告白も…

三重県1億5000万円横領事件 #1

genre : ニュース, 社会

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「勤務態度は真面目」な職員だったはずが

 アイドルの追っかけのため、5年にも及ぶ“横領生活”をしていたという男性職員。出向時に病院が発行した広報誌には、「新しい部署でまだ右も左も分かりませんが早く仕事を覚えて頑張ります」と初々しい自己紹介が綴られている。

 男性職員が学生時代を過ごしたという実家の近隣住民たちは「おとなしい性格だった」と口をそろえ、勤務先の同僚たちも同じような印象を抱いていたようだ。“アイドル好き”についても内気な性格からか、職場では公言していなかったという。病院関係者が語る。

男性職員の“推し”だったアイドルグループのメンバーとファン 読者提供

「勤務態度は真面目で、無口な性格。職場の同僚同士のプライベートでの付き合いはほとんどなく、ましてやアイドル好きなんて話は聞いたことがありません。金遣いが荒い様子も全く見せませんでした。彼は会計に一番詳しいエキスパートで、導入している電子会計システムを完璧に使いこなせる数少ない職員でした。      

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 出向前の役場でも会計業務をしていましたし、2019年に着任してからずっと同じ役職。専門知識もあり優秀な職員だったので、彼のことを完全に信頼していました」

 しかしそんな騙し騙しの横領にも、やがて綻びが生じる。

「病院があげている収益と実際の現預金の金額に大きな差異があると気づいたのは、決算書類の作成に手をつける前の今年5月頭頃です。最初は補助金とか、大きい未収金を計上し忘れているんじゃないかと思いました。『1桁間違えて支払いをしてしまったんじゃないか』とか、横領を疑ったというより数字が合わない理由が知りたかったんです。

自然も美しい南伊勢町 ©文藝春秋

 会計を担当する彼に聞くと、最初の頃は専門知識を交えて『この数字はこうだ』といった説明をしてきたのですが、やっぱり辻褄が合わない。おかしいと思って町の担当者と一緒になって追及し始めました。そうしたら6月7日、突然自ら副町長のところに行き、『私がやりました。これ以上、言い逃れできない』と申し出たのです。3年前から病床数の削減などで経営改善を図ってきたなかでの出来事で、残念で仕方がありません」(同前)