サーキットに舞う白煙にも、彼女たちの視界は曇らない。ハイパワー車を華麗に振り回す、「ドリフト女子」たちの素顔やいかに⁉
今回は女性だけのドリフト大会「ルミライズ」(富士スピードウェイにて開催)の参加者のうち、中学生の頃からドリフトを続ける「まゆ」さんをご紹介。
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「ドリフト一家」の娘に生まれ……
はじめて車を滑らせたのは、中学2年生の時でした。最初は専用の広場でぐるぐる回っているだけでしたけど、高校に入ってからはサーキットの走行会なんかにも参加するようになりましたね。
もともと父と兄がドリフトをしていたので、自分としてもやってみたい気持ちはあったんですが、直接のきっかけは、兄から誘われたことでした。
当時大学生だった兄が、学生のドリフト大会で毎年いい結果を残していたんですが、最後の年にマシントラブルで悔いの残る結果になってしまって。
それで、「俺の仇を討ってくれ」じゃないですけど、思いを託されるようにして乗りはじめたんです。車も兄のR33スカイラインを譲り受けて、今も競技車両として乗っています。今回はトラブルで別のシルビアを借りていますが、実はこれも兄の車なんですよ。
R33は完全に競技用で、ナンバーを切ってあるので、普段はS15のシルビアに乗っています。家にはそういう車ばかりで、母はもう呆れています。けど、ドリフトに関しては「もう3対1なので従うしかない」という感じですね。
ドリフト一家ですけど、やっぱり大学の友達になると、車が好きっていう人はいないですね。通っているのが女子大で、音楽関係の学部だというのもあるかもしれません。私自身、小さい頃からピアノをやっていて、音大ではないのですが、総合大学でそれに近い内容を勉強しているんです。
友達からは結構「乗せて乗せて」とお願いされるので、学校の帰りに乗せたりしています。スポーツカーの雰囲気だけで喜んでもらえますし、私自身もサーキットの外ではゆっくり流すのが好きなんですよね。
ドリフトをして困ることと言えば、やっぱりお金ですかね。練習だけでも結構な金額がかかるので、部活やサークルまで手がまわらないんですよ。今はバイトを3つ掛け持ちして、すべて車につぎ込んでいるような状況です。今もこの大会のために使い込んだので、口座には2400円くらいしか残ってなくて……内心、「明日からどうしよう」と怯えています。
将来は普通に事務とかの仕事をして、安定した生活ができたらいいなと思います。ドリフトも続けていきたいので、たまに趣味として楽しんでいけたらいいですね。
写真=坂口尚
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