サーキットに舞う白煙にも、彼女たちの視界は曇らない。ハイパワー車を華麗に振り回す、「ドリフト女子」たちの素顔やいかに⁉
今回は女性だけのドリフト大会「ルミライズ」(富士スピードウェイにて開催)の参加者のうち、学生時代に食費も削りながらドリフトに明け暮れていた「ゆりちゃんモータース」さんをご紹介。
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教習所で「マニュアルの楽しさ」に目覚め……
運転が好きになったのは、マニュアル免許を取ったことがきっかけです。もともと車に興味はなかったんですが、先輩から「マニュアルの方が就職に有利だよ」と言われて、教習に通ってみると操作が楽しくて。
それから、学生だけのドリフト大会があることを知り、自分も参加してみようとロードスターを買いました。勝負事にはトコトンのめり込んでしまう性格なので、生活のすべてを捧げてサーキットに通い詰めていましたね。
でも、当時は学生でお金もないので、ほとんど毎月赤字で……ドリフトの練習に月20万円くらいかけていて、クレジットカードで支払いを繰り延ばしながらどうにか暮らしていました。
ひどい時はスーパーでもやしも買えないレベルだったので、友達の家でなにか食べさせてもらったり、1日何も食べなかったり。いつもガリガリのフラフラっていう状態で生きていましたね。あ、今は社会人にもなりましたし、サーキットに通う頻度も当時に比べると減ったので、ちゃんとご飯は食べられていますよ!
一度ハマると、自分で納得できるまで技術を突き詰めたくなるんですよね。結果ももちろん大切ですが、それよりも「自分が一番カッコいい」と思えるかどうかが、私がドリフトで大事にしていることですね。それでギャラリーを沸かせられた瞬間……。これは一番の快感ですね。
大学までフィギュアスケートを続けていたのですが、同じ採点競技ですし、自分の実力を追求するという点が似ていたことが、ドリフトにのめり込んだ理由の一つかもしれません。「自分自身の力で勝負できる場がほしい」という気持ちと言いますか。
実はずっと乗り続けていたロードスターが最近エンジンブローで廃車になってしまったんです。泣く泣く修理を諦めて、今日の大会に参加できるかも微妙なところでした。そんなタイミングで安いボロのシルビアが見つかったんです。ぎりぎり納車が間に合ったので、どうにか動ける状態にしてもらって、なんとか今日は大会に参加できました。
まだナンバーも取っていない状態なんですが、車検に通すにはお金もかかりますし、このまま競技用に仕上げてしまおうか迷っているところです。いずれにせよ、これからも自分自身がカッコいいと思えるドリフトを追求していきたいですね。
写真=坂口尚
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