惚れた車のためなら、「不便」も一種の快感に。「奇人変人」は褒め言葉、クラシックカーオーナーの酔狂なコダワリに迫る!
今回は、謎に包まれた「近未来系スーパーカー」を自力でレストアした「りゅう」さんをご紹介。
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「謎のスーパーカー」を自身で完全レストア
この車を見てすぐに名前がわかる人は、たぶんほとんどいないんじゃないですかね。オーストラリアのパーヴィス・ユーレカという車で、日本にはバブルの頃に十数台が入ってきたらしいのですが、今走れる状態にあるのは他にないと思います。
もともと「キットカー」というジャンルで、部品のキットを販売するメーカーから、好きなものを自分で仕入れて組み上げるタイプの車だったんですよね。この車も、フォルクスワーゲン・ビートルのシャシーにボディキットを載っけたものなんです。
ただ、日本でそれをやると車検に通りませんから、海外でナンバーを取ったものを輸入して、それから輸入車として登録していたらしいです。ぼくがこれを買ったときには、車体はほとんどスクラップのような状態でしたが、登録関係の書類だけは生きていたので、自分で直せば法的に問題なく乗れる状態だったんです。これは助かりました。
とはいえ、エンジンもミッションもダメで、内装も水没して全部作り直さなければいけない状態で。せっかくなので好みの内装にしようと、自分でFRP素材の加工方法を覚えて、このダッシュボードもカーボンファイバーでオリジナルの型から作っているんですよ。
そうやって、どこのショップにも出さずに直してきたので、買ってから乗れる状態になるまでは7年くらいかかりましたね。エンジンを車体から降ろして、直して載せてみたら、今度はミッションがダメなことがわかり、また全部降ろして作業するとか。
大変ではありますが、これが公道を走っていたら面白いじゃないですか。なのでもう、「ガレージにあるからには直すしかない」という気持ちでやっていましたね。