惚れた車のためなら、「不便」も一種の快感に。「奇人変人」は褒め言葉、クラシックカーオーナーの酔狂なコダワリに迫る!
今回は、歴史的マッスルカー「シェルビーコブラ」を所有する日本唯一の女性、「蛇女」さんをご紹介。
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父が猛反対した娘の「走り屋デビュー」
もともと、物心つく頃から不思議と車が好きで、女の子らしい趣味といいますか、シルバニアファミリーとか、リカちゃん人形とかにあまり興味がなかったんですよね。
父親がものづくり系の職人をしていたこともあってか、ガンダムとか、そういう鉄臭い世界が好きでした。当時父が乗っていたレガシィの思い出も、とてもよく覚えています。
実はこのコブラを買う以前から、スポーツ系の車に乗っていたんですよ。最初に買ってもらった車はスイフトスポーツで大学生の頃でした。本当は自分でS2000を買いたかったのですが、父が「一人娘にそんな危ないマネさせられるか、ワシが買うたるからこの中から選べ」とカタログを出してきて。デミオとかフィットとかコンパクトカーを並べられ、もはやスイフトスポーツしか選択肢がないような状態でしたね。
そういう事情もあって、いざ弄ろうと思っても、父から「ワシが買うた車や、そんなん許さん」と止められ続けて。社会人になっても許してくれなかったので、もうこれは我慢ならんと、給料もボーナスも注ぎ込んでスイフトのお金を全部返し、そこからようやく自由に弄れるようになったんです。
そもそもスポーツカーに乗ろうと思ったのは、サーキットに通っている知り合いの車に乗せてもらったことがきっかけですね。「リアルにこんな世界があるんだ……」と、スリルや怖さも含めて全部楽しくて、そこからはもうドップリ。今も、先のスイフトや、FD(三代目RX-7)でサーキットを走っています。