惚れた車のためなら、「不便」も一種の快感に。「奇人変人」は褒め言葉、クラシックカーオーナーの酔狂なコダワリに迫る!
今回は、名車「510ブルーバード」に乗りながら子育てに奮闘する「あんな」さんをご紹介。
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運命を変えた『特攻の拓』との出会い
今ではこの510ブルーバードに乗っていますが、もともとはバイク派だったんです。むしろ、「車なんて涼しいものは邪道だ」なんて思っていましたね。
16歳くらいのときに『特攻の拓』を読んで、登場人物のマー坊に憧れて。そのままのテンションでバイクの免許を取りに行き、エイプの50ccを買いました。それからCB250を買って、マー坊の乗っているヨンフォア(CB400FOUR)仕様にして乗っていましたね。
なんて言うと、ヤンキーだったと思われるかもしれないですね。暴走族の漫画は好きでしたけど、現実では全然、ヤンキーとかではなかったんですよ。高校時代は普通に、放課後にバイクでみんなと走りに行くくらいでした。
こういう車に興味を引かれたのは、雑誌の『チャンプロード』がきっかけでした。もともと、バイクのカスタム情報を漁るために読んでいたんですが、そこでメチャクチャかっこいいブルーバードを見てしまって。見た瞬間、「うわ、これ乗りたい」と一目惚れ。
でもやっぱり、すぐに手を出せるような価格ではなかったので、車の免許を取って最初の車はホンダのビートでした。マー坊リスペクトなので、やっぱり基本的にホンダ党なんですよね。その後、セカンドカーに買ったのもホンダのレジェンドです。
それから偶然、この「510ブルーバード」を知り合いから安く譲ってもらって。実際に乗ってみるとクーラーもないですし、パワステもないので大変ですが、むしろそれが旧車らしさだと思って楽しんでいます。
買ってから弄っている部分は多くないですけど、人と被らないようにホイールを紫に塗っているのがポイントですね。全部そのままの状態で乗っていると、周りから「オジサンかな?」と思われてしまうかと思って……。旧車のカスタムとしては邪道かもしれませんが、女の子だとわかるように自分で塗ったんです。
基本的に、このブルーバードに乗るのはイベントとか、みんなでツーリングに行くとかがメインですね。普段の足に使っているのはホンダのクロスロードというSUVです。子どもがいるので、人が乗れてモノも詰める車にしようと思って。
今は仕事を頑張りながら、子どもと車を養っています。仕事で出会うお客さんには、「旧車が趣味」だとは言っていませんね。仕事とプライベートは分けたいなと思って。
写真=坂口尚
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