「こんなポンコツ買ってきやがって」
いざこの車を買ってきた時、父親は「こんなポンコツ買ってきやがって」というリアクションでした。父が直した部分もかなりあるので、そのたび「もうちょっとマシなの買ってこいよ」と愚痴っていましたね。
ずっとガレージでいじっていたので、そのときは当然注目もされませんでしたが、直した途端雑誌なんかの取材も受けるようになって。正直、直している間は「こんなの直して、どう思われるんだろう」と考えることもありましたが、実際かなりウケがよくて嬉しいですね。
でも、実は見た目の割に、乗り心地はめちゃくちゃ普通なんですよ。もともとのベースがビートルなので結構フワフワしていて、長距離を走っても意外と疲れません。もともとは直管の状態だったんですが、「大人の乗り物は静かじゃないと」と思って、バイクのハヤブサのマフラーを加工して取り付けました。なので、音も静かで、夜中でも気にせず出て行けますね。
乗り続けていると、どうしてもマシントラブルが起きることもありますが、全部その場で対処できるレベルのものです。キャブレターが緩んだとか、ワイヤーが切れたとか、配線が抜けたとか。どこが壊れやすいかもわかっているので、いつも車には直すためのセットを積んでいます。
お店に持ち込んで直すような故障はありませんね。これ系の車に乗っている人で、主治医がいない人っていうのはほとんどいないんじゃないかと思います。
維持も楽で、アナログなので自分で全部直せるっていうのがいいですよね。今怖いのは、ぶつけられることくらいです。あとはもう、オーナーが死なない限りはずっと直して乗っていけますよ。
写真=坂口尚
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