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なぜ「被爆者・人種差別」がまかり通るのか…いまだ「暴力的なヤジ」が飛び交う日米プロ野球の非常識

「リチャードさん、日本シリーズ見てますか? “ヤクルトVSオリックス”。去年と同じく接戦で、めっちゃ面白いですよね」

 彼は筆者が大のカープファンだということをわかっていて、あえて、このタイミングで日本シリーズネタを振ってくる。5位でシーズンを終えたカープは、日本シリーズどころかクライマックスシリーズにすら出られずじまいだ。そういう意味では、筆者の2022年シーズンは、もう随分前に終わっているし、いわゆるポストシーズンとは無縁の秋も、かれこれ4年目になる。実に淋しい。

 日本シリーズなんて、もう遠い世界の話も同然の筆者にとって、目下一番気になるのは、新井新監督の元、大幅に刷新されるコーチ陣だし、戦力外通告を受けた選手の行き先だったり、新しいデザインになったユニフォームだ。しかし、あのビジターユニフォームは、どうにかならんのか。背番号が小さくなった上に「赤」×「赤」なんて、球場で見たら、誰が誰だかわからないじゃないか。

カープファンに向けられた最低最悪のヤジ

 そういえば、気になることが、もう一つあった。一部のプロ野球ファン以外の方々は、ほとんど目にしないだろうし、あまり意識しないと思うのだが、カープというかカープファンに向けられる差別用語の話だ。

カープファンだけでなく、被爆者まで侮蔑する「ケロカス」という言葉は10年以上前から球場で飛び交っていたという(画像:時事通信)

 詳しくは「ケロカス」でググっていただければわかると思うが、被爆者差別や地域差別にあたる言葉を用いた中傷だ。そもそも、この言葉自体、使われ始めたのは、もう10年以上も前のことなのだが、最近、新聞などであらためて報じられたことで、また話題になっている。

 プロスポーツとヤジ、あるいは中傷は、何も日本に限った話ではない。野球で言えば、筆者がよく見るメジャーリーグベースボール(MLB)は、それこそ選手同士、選手と観客、観客同士と、ヤジや中傷が数多く飛び交っている。

 以前からヤンキー・スタジアムの外野席ファンは、何かにつけヤジを飛ばすことで有名だし、伝統的に「ブリーチャー・クリーチャー(Bleacher Creature=外野人)」と呼ばれており、ある意味“ヤンキー・スタジアム名物”と言われているくらいだ。