11月4日、北海道日本ハムファイターズからドラフト3位で指名された加藤豪将(ごうすけ)内野手が、入団に合意したことが発表された。都内で入団会見が開かれ、背番号は「3」に決まった。
加藤がアメリカ球界で歩んできた道のりについて、かつて現地で取材したこともある元共同通信記者の神田洋氏がつづっている。ドラフト指名直後の記事を再公開する。
(初出:2022/10/25)
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過去にもドラフト会議を沸かせてきた日本ハムファイターズらしい驚きの指名だった。新庄剛志監督好みの指名でもある。
今季米大リーグ、ブルージェイズで初昇格を果たした加藤豪将(ごうすけ)内野手(28)が日本ハムに3位指名された。加藤はメッツとマイナー契約を結んでいるため「今後の事に関しては周囲と相談し、しっかり考えたいと思います」とツイッターに投稿しただけで、入団について意思を明らかにしていない。日本ハムにとって魅力ある存在であるのは確かだ。
ジャッジと同年のドラフト2巡目
加藤は、大谷翔平や鈴木誠也と同じ1994年生まれ。日本人の両親の下、幼少時からカリフォルニア州で暮らし、高校を卒業した2013年のドラフトでヤンキースから2巡目で指名された。同年ヤンキースが1巡目で指名したのが、今季62本塁打でア・リーグの記録を更新したアーロン・ジャッジだった。この年ヤンキースは上限の40巡を使い切って42選手(FA補償で得た二つの指名権を含む)を指名した。2巡目がいかに高い評価であるかが分かる。
ただ、入団時の期待のままレールに乗って昇格を果たしたわけではない。入団から2、3年目にヤンキース傘下の1Aで好結果を残すことができず、期待の若手という意味の「プロスペクト」と呼ばれることがなくなった。再び注目されたのは、(マイナー最上位の)3Aに定着した2019年だった。
マイナーでは、選手の扱いに大きな差がある。メジャー契約を結んでマイナーでプレーする選手と、それ以外の選手だ。メジャー契約は各チーム40人で、大リーグのベンチ登録は26人。だいたい各チーム10人余りのメジャー契約選手がマイナーでプレーしている。種々の権利を有する「メジャー契約のマイナー選手」の動向に翻弄される形で、他の選手は3Aと2Aを行き来し、時には放出される。
プロ10年目でついに大リーグ昇格
そんな中、加藤は「野球のビジネスサイドも分かってきている。自分にコントロールできることだけをコントロールするということです」とプレーを続けた。2020年はマーリンズへ移籍したが、コロナ禍で全マイナーリーグが中止に。ただ、そういう時間を無駄にしないのが加藤だ。
サンディエゴの自宅に戻り、高校のグラウンドで打撃改造に没頭した。
当時、共同通信の取材に「将来の自分が今の自分に感謝できるような練習をしたい」と語っている。2021年はパドレス傘下の3Aで400打席以上立って打率3割6厘。取り組みの成果はすぐに出た。