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《暴対法の規制は継続》「独立は認めない」神戸山口組から離脱した侠友会と宅見組に警察当局は「内紛は一時的なものかもしれない」

《暴対法の規制は継続》「独立は認めない」神戸山口組から離脱した侠友会と宅見組に警察当局は「内紛は一時的なものかもしれない」

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2022/11/12

genre : ニュース, 社会

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 6代目山口組との対立抗争が続く神戸山口組の組織縮小が続いている。2015年8月に6代目山口組を離脱した際には山健組など中核5組織を中心に13組織で結成され、構成員は約2800人だったが、2021年末時点では約510人にまで減少。さらなる組織の縮小は確実だ。今年夏には中核組織であった宅見組、侠友会が脱退し、独立組織として活動を始めた。しかし、警察当局は「独立は認めない。神戸山口組の傘下組織として継続して暴力団対策法の規制の対象とする」として動向監視を続ける方針だ。

◆ ◆ ◆

宅見組を率いる入江への「除籍通知」

 中核組織の山健組、池田組などが組織を離脱し、四分五裂の状態の神戸山口組で今年10月、さらに迷走を象徴する「除籍通知」と題した書状が暴力団業界で回覧された。

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「元当組舎弟 入江禎(七十七歳) 大阪在住 右の者 令和四年十月五日付けを以て『除籍』致しました 右 念の為御通知申し上げます 令和四年十月」

 除籍通知を出したのは、「神戸山口組執行部一同」となっている。

指定暴力団神戸山口組の井上邦雄組長(左から2人目)

 書状で名指しされた入江が組長として率いていたのが宅見組である。5代目山口組時代に長年にわたりナンバー2の若頭に就いていた宅見勝が結成した組織で、暴力団業界では長く「名門」と位置付けられてきた。宅見は「武闘派」としてだけでなく、不動産や金融にも通じた「経済ヤクザ」としても知られた存在だった。しかし、5代目山口組の内紛から宅見は1997年8月、同組中野会のヒットマンに暗殺された。

 宅見の後を継いで、入江が2代目宅見組組長に就任した。ただ、5代目山口組では宅見暗殺後、若頭が長期にわたって不在となる異常状態が続いた。2005年8月、山健組出身の5代目組長・渡辺芳則の後任として、弘道会の司忍が6代目組長に就任すると、それまでの山健組主導から、弘道会中心の組織運営になっていった。

入江組長に対する「除籍」を通知した書状

 6代目体制への反発から結成された神戸山口組だったが、様々な名目での金銭の徴収への批判から、任侠団体山口組(現・絆会)が2017年4月に離脱、再び分裂劇となった。さらに、豊富な資金力で知られた池田組が2020年7月に、最大派閥の山健組が8月に相次いで脱退している。

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