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《暴対法の規制は継続》「独立は認めない」神戸山口組から離脱した侠友会と宅見組に警察当局は「内紛は一時的なものかもしれない」

《暴対法の規制は継続》「独立は認めない」神戸山口組から離脱した侠友会と宅見組に警察当局は「内紛は一時的なものかもしれない」

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2022/11/12

genre : ニュース, 社会

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脱退した組織も神戸山口組の傘下組織として規制の対象

 山健組、池田組の脱退については、6代目山口組が引き起こす事件に対して、「理由は不明だが、神戸山口組組長の井上邦雄が返し(報復)を許さなかったためではないか」(警察幹部)とされる。こうして勢力は減少する一方だった。

 2022年夏になって、さらに侠友会と宅見組が神戸山口組を脱退することになり、暴力団対策法上の規制の対象外の独立組織といった主張がなされるのではないかという問題が持ち上がった。だが、組織犯罪対策を担う警察当局の幹部は、暴力団組織の内紛や軋轢などによる独立宣言に振り回されることはないという立場を強調した。

「神戸山口組で起きている内紛のような出来事は把握している。しかし、勝手に脱退だ、独立だと宣言しているとしても、内紛は一時的なものかもしれないし、すぐに元に戻ることもない訳ではない。いずれにしても侠友会と宅見組については、依然として神戸山口組の傘下組織として暴力団対策法の規制の対象とする」

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神戸山口組の井上邦雄組長

“指定暴力団”と指定されるための3条件

 指定暴力団とは、集団で常習的に暴力的不法行為等を行う恐れがある暴力団のことで、都道府県公安委員会によって指定される。指定にあたっては、(1)暴力団としての威圧的な活動で資金を獲得している(2)犯罪歴がある構成員が一定比率以上、在籍している(3)組長をトップとしてピラミッド型の階層的な組織となっている、といった3条件が必要要件となる。

 暴対法に基づいた指定暴力団でなければ、暴力団の位置づけは「任意団体」となる。言わば、「PTA」「町内会」「同好会」「サークル」などと同じとなってしまい、当然ながら暴対法の規制の対象ではない。

 指定暴力団となると、繁華街の飲食店などからの用心棒代の徴収や、債権の不当な取り立てなどが禁止され、対立抗争時の事務所の使用も制限される。従わない場合には中止命令などが出され、さらに違反行為が発覚すれば逮捕されることもある。警察庁によると、現在、全国で25組織が指定暴力団となっている。

 前出の警察当局の幹部は、「指定暴力団であることがさらに重要なのは、6代目山口組、神戸山口組の双方を『特定抗争指定暴力団』として、さらに強い規制の対象とし続けるためだ」と強調する。

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