「この組織には正式な名称がない」
ここでは、あえて「組織」という言い方にしました。ここにも理由があります。
元リーダーのひとりである山田氏(仮名)によると「この組織には正式な名称がない」と言います。
「これまでに組織の名称を4回も変えているでしょうか。現在は『T』などと言って活動しているようですね」
組織名をその都度変えながら活動している理由について、「ネット上に悪評が出回ると、別の名前に変えていくのです」と答えます。これは、悪質業者が行政処分を受けると、世間からの目を逸らせるために、別会社に名前を変えるのと同じ構図だといっていいでしょう。
マルチ商法を規制する法律に、特定商取引法(特商法)があります。連鎖販売取引では、勧誘に先立って消費者に業者の名称や統括者の氏名を伝えなければならないことや、勧誘目的を告げない誘引への禁止事項が定められています。トラブルが多い商法ゆえに、こうした法律があるわけです。
悪質な業者のなかには、法律を遵守しないだけでなく、実質的にはマルチ商法のかたちをとりながらも、特商法における連鎖販売取引にあたらないようなしくみで勧誘をするところもあります。それゆえ、「マルチまがい商法」という表現をせざるをえないのが実情です。
この組織の悪質さは、それだけではありません。連鎖販売取引の形態にあたらないようなマルチまがいのしくみにすることで、いまも警察や行政からの手を逃れて勧誘し続けています。
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