振込明細が“虚偽記載”の証拠に…
例えば、振込明細からは、「テラダミノルタケハラコウエンカイ」が11月5日付で「マツダオートザム竹原」に51万7640円を振り込んでいたことが確認できる。ところが、選挙運動費用収支報告書の「支出の部」欄では、同じく11月5日付で「マツダオートザム竹原」に「レンタカー代」として51万7640円を支出していたことになっていた。
つまり、寺田氏は広島県選挙管理委員会に対し、実際には「寺田稔竹原後援会」が支出していた選挙費用106万842円を、候補者である寺田氏自身が支出していたとする“虚偽報告”を行っていたのだ。
公職選挙法に詳しい神戸学院大の上脇博之教授が指摘する。
「公職選挙法違反の虚偽記載罪に当たり、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金が科せられる。しかも報告書上は、約106万円を寺田氏が支出した形になっていますが、実際には支出していません。後援会が“肩代わり”している以上、その約106万円は寺田氏に残っていることになる。つまり、裏金になっているのです。こうした処理が許されれば、幾らでも“別の財布”から選挙費用を出すことができる上、“自分の財布”に裏金を溜めておくことも可能になってしまいます」
寺田事務所に11月14日朝、事実関係の確認を求めたところ、同日夕、次のように回答した。
「事実確認中です」
政治資金に加え、総務省のトップとして選挙も所管する寺田氏。本来であれば、民主主義の根幹であり、高い透明性が求められる選挙に関する資金について厳しく監督・指導する立場だ。にもかかわらず、自らの選挙において、違法の疑いも強い不透明な資金の流れが発覚した。政治資金の疑惑を巡っても不十分な説明を重ねてきた寺田氏だが、選挙に関する疑惑についてはどのような説明を行うのか、注目される。
11月16日(水)10時配信の「週刊文春 電子版」および11月17日(木)発売の「週刊文春」では、約106万円の裏金を巡る公選法違反疑惑の詳細のほか、選挙運動においても77枚の“偽造領収書”を寺田氏側で作成していた疑い、さらに、選挙運動に従事していた地元市議らに違法な金銭を支払っていたとする運動員買収疑惑など、寺田氏の衆院選に関する様々な違法疑惑を中心に5ページにわたって詳報している。
文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。
※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。