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給付金詐欺のことをI秘書は知らなかったのか?

 参加者の一人が当日の状況を明かす。

「仕切ったのは、I秘書で、彼と繋がりの深いメンバーだけが参加できた。熊田先生から『地元で自民党員を増やしていこう』と激励を受け、さながら決起集会のような雰囲気でした」

 熊田事務所を巡っては、2021年3月にも元事務所スタッフ2名が持続化給付金の詐欺容疑で逮捕されており、今回の事件とあわせると、5名のスタッフが税金の詐取に絡んで逮捕されたことになる。

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2021年、元事務所スタッフが詐欺容疑で逮捕された際に会見を開いた熊田議員 ©時事通信社

 熊田事務所のI秘書に話を聞くと、彼らに自民党員の勧誘を依頼していたことを認めた上で、次のように説明した。

「(太田には)掲示板やポスターも貼っていただいた。名刺に関しては(熊田議員を)応援するにあたって『あった方が動きやすい』と申し出があった。安易に出し過ぎたと反省しています」

 太田容疑者が給付金詐欺を行っていたことをI秘書は、本当に知らなかったのか。I秘書は、捜査を受けていることを逮捕前に直接聞いたことは認めたが、「(不正受給に関わっていること自体は)知らなかった」と回答した。

 11月30日になって編集部に熊田事務所から、改めて文章で回答が届いた。

――熊田議員が20年7月、太田、江部、谷らを国会の議長応接室に招き、3名と歓談を行った経緯を教えてください。

「歓談ではなく国会見学の一環です。国会見学をされた際に、国会の議長応接室も見学をされたと記憶しております」

――太田が愛知1区の選挙区内で街頭活動の手伝いをしていたのは事実でしょうか。また、新たな党員を紹介してもらった事実はあるのでしょうか。

「太田氏には、一般的なボランティアとしての活動をしてもらいました。その中で自民党員になりたい方を紹介していただいたことはあります」

――熊田議員およびI秘書は、本件詐欺行為について把握していたのでしょうか。事件を知ったのはいつか、お答えください。

「太田氏より、警察から事情聴取を受けていることを2020年秋ごろに聞きました。本人に事実確認をしたところ、絶対に不正はしていないと述べていました。なお、太田氏がコンサルタント業務をしていることや、報酬を受け取っていたこともその時に聞きました」

――今回の不正受給事件、さらには昨年、別のスタッフが同じく不正受給で逮捕され、有罪判決が出ていますが、その件についてご見解をお聞かせください。

「捜査中の事件につきましては詳しいコメントは控えさせていただきますが、被疑事実が真実であれば、大変遺憾に思います。また、可能な限り当局の捜査には協力させていただきます。次にボランティアとはいえ、元スタッフが有罪判決を受けたことにつきましては、重く受け止めております

 判明した自民党の衆院議員と給付金詐欺グループのズブズブの関係。熊田議員が今後どのような説明をするか、注目される。

 11月30日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および12月1日(木)発売の「週刊文春」では、政治資金収支報告書から浮かび上がる熊田事務所と詐欺グループのただならぬ関係、逮捕された人物の内縁の妻が自民党から出馬を予定していることなどを報じる。

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