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記載されていない収入は1500万円に上る可能性も

 2019年11月15日にも、今度はホテルニューオータニで同じ「岡本三成君を励ます会」が開催された。この時も参加議員らは「会費」を収支報告書に記しているが、今度の宛先は「三成会」ではなく、「岡本三成君を励ます会事務局」となっている。だがこの事務局も住所は岡本氏の衆院議員会館の部屋になっており、岡本氏が取り仕切る事務局と思われる。ところが、「三成会」や、「公明党衆議院東京第12選挙区総支部」など、岡本氏が関係するどの団体の収支報告書を見ても、ホテルニューオータニで行われた「励ます会」の収支が見当たらないのだ。

石井啓一国交相(当時)と岡本氏(岡本氏のFacebookより)

 ちなみにこの会場は、パーティの写真からホテルニューオータニの「鳳凰の間」と見られるが、ここは安倍晋三元首相が「桜を見る会」の前夜祭でも使用していた、政治家御用達の広大なスペースで、立食なら最大500人を収容できる。仮に500人が政治資金パーティの相場である2万円を支払ったとすれば、約1000万円の収入となる。

 2018年、19年合わせて、合計1500万円に及ぶ可能性のある、巨額の不記載疑惑。

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 政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授が語る。

「政治資金規正法違反にあたります。政治資金パーティを開いた場合、仮に収支がトントンで利益がゼロでも報告しなければなりません。2年連続で収支そのものが記されていないのは極めて悪質です」

 岡本事務所に尋ねると、概ね次のように回答した。

「ご質問のパーティは政治資金規正法第8条の2に規定された政治資金パーティです。ただし(政治団体ではなく)任意団体『衆議院議員 岡本三成君を励ます会』が主催したもので収支等を報告するには及びません。任意団体の代表者は定めておりません。(参加者が三成会に会費を支払ったとしている点は)領収書の発行者を『励ます会』とすべきだったが事務的なミスです。訂正等必要な手続きを行います。ご指摘の政治資金規正法違反には一切該当しないものと了解しております」

 だが、この説明に上脇氏は「言い逃れとしか思えない」と語る。

「そもそも代表者のいない任意団体が、別団体である三成会名義の領収書を複数の議員に発行できるはずがありません。百歩譲って『励ます会』が主催者だとしても、その団体が岡本氏の議員会館に住所を置き、2年連続でパーティを開くなど継続的に岡本氏を支えるための活動していることは明らか。任意団体ではなく政治団体として総務省などに登録し、収支報告書を提出しなければなりません。岡本氏の説明が通れば、政治家は全員、任意団体を使った“闇パーティ”開催が可能になってしまう」

 先日、自民党の薗浦健太郎衆院議員が、パーティ収入を約4000万円少なく政治資金収支報告書に記載している政治資金規正法違反の疑いで、東京地検特捜部が捜査に動いていることが報じられた。岡本氏の今回のケースは、集めた政治資金の使途がブラックボックス化している点で、これと酷似している。

 政治資金規正法は、その趣旨を第一条で次のように記している。

〈この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする〉

 政治資金を集めながら、なぜそれを政治資金規正法の趣旨に則って公表することをせず、収支をブラックボックスとしているのか。また、なぜ3名の国会議員に、岡本氏の資金管理団体が領収書を発行する“間違い”が起きたのか。クリーンな政治を標榜してきた公明党の国会議員だけに、より丁寧な説明が求められることになりそうだ。

 12月7日(水)正午配信の「週刊文春 電子版」および8日(木)発売の「週刊文春」では、米NYに10億円を超す不動産を保有するという政界きっての富豪議員・岡本氏の人物像、そして、その公明党を通じて政界に大きな影響力を有する創価学会について詳報する。

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